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平成28年6月定例会〈一般質問〉
  「震災時における業務継続計画」について

【質問】熊本・大分地方を震源にして連続的に起こった地震は、震度1以上の地震が6月19日現在までに1,600回を超え、現在の観測体制が整った1995年以降、内陸や沿岸で発生した地震では過去最多となり、現在も6,000人を超える人が避難生活を送るなど、終息が見えない状況になっております。また、2度にわたり震度7を記録した今回の地震では、庁舎の被害により災害対応に支障が生じたり、自治体の業務継続にも混乱を来したと聞いております。

 そこで、災害時に人やもの、情報などが制約を受けた場合でも一定の業務を的確に行えるよう自治体の業務の継続計画を策定し、その対策を事前に準備しておくことが重要になってまいります。この業務継続計画は、英訳のBusiness Continuity Planの頭文字をとってBCPとも言われておりますが、この自治体のBCPにおいては、被災状況に応じて事業を絞り込む民間企業のBCPとは異なり、災害時でも業務を減らすということが難しく、初動期には優先業務を絞り込み、その後は業務量に応じた人員、施設、設備等の対応資源の確保が必要になってきます。  

 こうした中、本市においては他市に先駆けて2010年に藤沢市業務継続計画、BCPを策定されて以降、東日本大震災などの教訓を踏まえ、毎年見直しながら取り組まれていると聞いております。しかしながら、災害対策基本法に基づいて地方公共団体が災害発生時の応急対策や復旧など災害にかかわる事務、業務に関して総合的に定めている地域防災計画では、職員が行う業務について、職員の誰が、いつ、どこで、どのように実施するのかなどの詳細については具体的に定められておらず、災害時に活動する拠点の被災や職員の参集遅延などの制約事項についても考慮がされておりません。このため、地域防災計画のみでは大規模災害時において市が対応すべき業務が十分に把握できず、結果として市民に多大な支障を及ぼす可能性が考えられます。  

 そこで、災害時の業務継続計画として平常時業務の優先順位の区分や平常時業務の遂行に必要な職員数を整理し、地域防災計画の実効性を担保することが重要になってきますが、大規模地震の際の本市BCPの運用方針、手順などについてお聞かせをください。

【答弁】 本市におけます業務継続計画の作成状況でございますが、新型インフルエンザなどの感染症に備えた計画を平成22年1月に作成し、平成25年3月に大規模地震に関する部分を新規に作成するとともに、これらの計画を1つにまとめたものでございます。

 本市の計画では、各課における通常業務を発災後5つの時間区分に分けて記載し、業務を行うべき時期、業務を実施するために必要な人数を整理しており、毎年、各課に業務内容や人数の見直しを依頼し、改定作業を行っているところでございます。

【質問】 各課における通常業務を5つの時間区分に分けて、行うべき業務の時期や、業務を実施するために必要な人数などを整理しているという御答弁でありましたが、この大規模地震の際、実際に業務継続計画を進めるに当たり、その実効性については現時点でどのようにお考えなのか、お聞かせをください。

【答弁】 現在の業務継続計画においては、全ての職員が参集できる条件で時間区分に応じた必要人数を定めております。そのため、平日の夜間や休日に災害が発生した場合、職員が参集するまでの時間や、自宅などにおける被災状況によっては全ての職員が参集できない可能性があることが課題となっております。したがって、職員が参集できる割合を一定の割合で考える、より実効性のある業務継続計画の改定を検討していく必要があるものと考えております。

【質問】 被災状況によっては全ての職員が参集できない可能性を踏まえた、より実効性のある計画の改定を検討するという御答弁もありましたが、この業務継続計画は一旦策定すればよいというものではなく、計画の実効性を確認し、さらに高めていくためには有事の際の業務継続に対する職員への教育や、業務継続を遂行するための訓練を繰り返し実施する必要があると考えますが、職員の教育や訓練について本市のお考えをお聞かせください。

【答弁】 現在、業務継続計画については年に1度見直しを行っておりますが、多くの職員が業務継続計画に触れる機会が少ないのが現状でございます。したがって今後は、毎年、各課で毎月1回開催される課内会議において所属職員への説明を随時行うほか、職員課が階層別に実施する研修におきましても、この計画について説明を行い、全ての職員が理解を深められるようにしてまいります。  

 また、毎年秋に各指揮本部において発災後のさまざまな場面を想定してその対応方法を確認する各指揮本部災害対応図上訓練の際には、災害対応訓練のほか、この計画で災害時にも継続する業務として定めた各課の業務について、実効性を確認することを目的とした業務継続計画遂行訓練を実施してまいります。

【質問】 この業務継続計画遂行訓練というのは非常に重要になってくると思いますので、ぜひ早急に取り組んでいただくよう要望をさせていただきます。  

 次に、業務継続計画においては災害時に優先的に実施する業務を少なくとも発災直後からおおむね3日目までと1週間までの3段階に区分して、非常時に優先する業務を整理しています。また、地域防災計画では主に被災住民、被災企業を救護、支援することが主な主題であり、本市においては防災危機管理室が主担当となっていますが、具体的な災害対応業務に取り組むには、まず庁舎や設備、職員配置、業務環境などの行政内部の体制を整えることが不可欠であり、その役割や権限は防災危機管理室よりも管財や人事などの総務部全体で対応することが重要になると思います。  

 そこで、限られた人数の職員や設備をどの業務に優先して充てるのかという基準となる災害対応業務の全庁的な優先順位と、どの時点で業務対応をシフトしていくのかという判断を誰が、どの部署が行うのかということについて、本市の御見解をお聞かせください。

【答弁】 災害対応業務の全庁的な優先順位については、平成24年度に庁内プロジェクトとして会議を重ね、災害時職員行動マニュアルを作成し、全庁的な優先順位のほか、各指揮本部が実施する災害対応業務をフェーズごとに分けて整理をしております。しかし、災害時には予期せぬ事態も起こり、事前に整理した優先順位のとおり災害対応業務を進めることができないことも考えられます。地域防災計画では、防災活動の配備に関することや災害対策本部と各指揮本部等との連絡及び調整に関することなどを災害対策本部会議の審議事項と定めていることから、災害対策本部会議において、現状に沿った災害対応業務の優先順位や災害対応業務と通常業務のバランスなどを決定いたします。  

 具体的には、各指揮本部において、指揮本部内の現状や通常業務の再開時期のあり方を検討した上で、災害対策本部会議において、その検討結果を報告し、市全体の災害対応業務のバランスを踏まえ、優先順位を変更することや通常業務の再開について決定をいたします。

【質問】 災害対策本部において意思決定していくということでありましたが、それでは、業務を遂行するに当たっての課題について、やはり発災直後から3日間は各部署で相当混乱することが予想されます。また、地震発生が休日や夜間の場合、公共交通機関の停止や道路の不通などで職員の登庁が困難な場合も想定され、避難所運営や被害調査などの災害対応業務が膨らむ一方で、職員の不足は災害対応を困難にする大きな要因になります。実際に東日本大震災の際には、家族の安否が不明なまま1週間以上も自宅に帰れず働き続けた職員も珍しくなく、不眠不休で災害対応に取り組んだ結果、体調を崩した職員も多くいたと聞いております。  

 そこで、災害対応への職員の環境整備も重要であると考えますが、非常時における職員用の休憩場所の確保や食料の完備、あるいは非常用携帯トイレなど、非常時における職員の体調管理についてどのようにお考えなのか、お聞かせをください。

【答弁】 災害対応職員が長期間にわたり災害対応業務に従事することを想定し、職員用の3日分以上の食料等を本庁近くに備蓄することとしております。さらに長期化し、食料等が不足する際には、食料の調達、配分、輸送を協議する食料・生活物資検討会議において報告を行い、調達することとしております。  

 また、東日本大震災の教訓により、災害対応職員が休憩や食事をとるスペースを確保するための配慮が必要であることから、そのためのスペースを確保することとしております。体調管理につきましては、災害対応が長期にわたると判断をしたときは職員が交代で災害対応業務に当たるようローテーションの速やかな作成を各指揮本部へ指示するとともに、全国からの応援部隊が活動している場合には、本市の地理になじみのない応援部隊のみで災害対応業務を行うことがないよう、市職員のローテーションを考慮してまいります。

【質問】 今、職員用の3日分以上の食料などを本庁近くに備蓄するという御答弁がありましたが、それでは、実際に備蓄状況はどのようになっているのか、また、災害対応の職員の皆さんが休憩や食事をとるスペースの確保についても本庁及び市民センターなどにおける対策はどのようになっているのか、お聞かせをください。

【答弁】 本年4月に改定した本市の地域防災計画の被害想定における最大避難者数が23万7,900人と、これまでより増加したこともあり、現在、食料等の公的備蓄の増強を図っているところでございます。この備蓄食料につきましては、被災市民への供給を優先とすることから、災害対応職員用の備蓄食料は未整備の状況となっております。  

 また、災害対応職員の休憩スペースにつきましては、その確保について配慮が必要でございますが、どの部屋を休憩スペースに充てるかなど、ほとんどの避難施設において具体的に定めている状況ではございません。  

 今後、市民向けの備蓄食料とあわせて災害対応職員用の備蓄も進めるとともに、災害対策本部事務局や避難施設等において職員用の休憩スペースをあらかじめ定めてまいります。

【質問】 この職員用の備蓄食料は未整備で、休憩スペースについても確保されていないということでありました。恐らく藤沢市の職員の皆さんは災害時には市民対応に没頭して寝食を忘れて職務を遂行されるというふうに思いますが、この市民のために頑張るんだという精神論だけでは限界があると思います。実際に熊本地震で大きな被害を受けた熊本県内の15市町村のうち、半数に当たる8自治体で職員を対象にした心のケア対策を始めているそうであります。

 また、職員を対象に健康状態を調べた熊本市では、鬱状態になりかねない職員が半数を超えている部署もあるというふうに聞いております。  

 このように、大地震などへの対応は長期に及ぶことが想像されますので、少なくとも災害初動期における職員の食料と休憩場所の確保は早急の課題でありますので、ぜひ早急に取り組んでいただくよう、要望をさせていただきます。  

 次に、熊本地震での教訓からお尋ねをしたいと思いますが、今回の熊本地震では余震が続いたことからも多くの方が避難所での生活を余儀なくされ、住宅の倒壊や使用不能になった方たちの住居の問題も大きな課題となりました。  

 そこで、東日本大震災を契機に取り組みが始まった民間賃貸住宅を借り上げる、いわゆるみなし仮設住宅についてであります。今回の熊本地震では震災2週間で募集が始まったものの、熊本県と熊本市が同時並行で作業を進める中で、同程度の被害を受けた人でも入居判定に違いが出るケースがあり、混乱をしたと聞いております。  

 そこで、本市におけるみなし仮設住宅の考え方について、また、入居判定の運用など神奈川県とあらかじめすり合わせておく必要があると考えますが、本市の対応方針についてお聞かせをください。

【答弁】 本市における応急仮設住宅に関する準備でございますが、地域防災計画において災害救助法が適用される災害が発生した際には、市は応急仮設住宅等に利用可能な市営住宅を、県は県営住宅及び民間賃貸住宅などの戸数を調査することのほか、建設場所の選定、設置戸数、標準規格などは神奈川県応急仮設住宅供給マニュアルに従うこととしております。  

 このマニュアルは、県及び市町村等が被災者に対して住宅を供給するまでの流れを整理したものとなっており、具体的には、事務のフローチャートや作業手順のほかに、入居条件や入居世帯選定基準などが記載されております。市内の応急仮設住宅に関する受け付けは本市で行うことになりますが、神奈川県も本市もこのマニュアルに従い事務を進めていくことから、入居基準等の準備はできており、県と市における条件の違いも起こらないと認識をしております。しかしながら、災害の規模によっては本市独自の条件をつける場合があるため、その際には神奈川県と十分協議を行い、事務を進めてまいります。

【質問】 この応急仮設住宅への対応については、今回お聞きしたところ、災害救助法が適用されるどうかで県と市の対応が違うようでもありますが、いずれにせよ、市としても市営住宅を初め民間賃貸住宅などの活用を含めた事前の対策を立てていく必要があると思いますので、もう少し具体的な計画づくりをされるよう、きょうは要望したいと思います。  

 次に、大地震や津波により庁舎が被害を受け、情報通信設備や機器の破損、電力供給の停止などが想定され、東日本大震災で被災した自治体の幾つかは情報システムが機能せずに復旧に困難を極めました。  

 そこで、本市におけるICTにおけるBCPについて何点かお尋ねをしたいと思います。  まず、本市のデータバックアップ体制及びICT部門としての緊急時対応体制の考え方についてお聞かせをください。  

【答弁】 本市における住基データ等のデータバックアップ体制につきましては、大規模災害に備え遠隔地へのデータ保管を毎月実施しております。また、IT部門の緊急時への対応につきましては、全庁的な緊急時対応計画とは別に、ICT−BCPを策定し、災害時の情報収集や市民への情報提供等に支障が起きないよう対応するため、災害時に職員が参集可能か確認する職員参集想定訓練を初め、さまざまなBCP対応訓練をしております。

【質問】 大規模災害時に備えて遠隔地へのデータ保管を実施しているということでありましたが、この災害時においてはICT部門においても他の自治体との協力関係を構築しておく必要があると思いますが、外部を経由した本市のICTデータの運用など、他市との災害協定の締結や実施手順についてどのように整理されているのか、お聞かせをください。

【答弁】 データのバックアップは遠隔地に保管する一方、ICT部門における他市との災害時の協定については、平成21年度に東京都杉並区と協定を締結しております。この協定に基づき、毎年相互にデータの利用に関して訓練を行い、災害時における復旧手順も含め確認を行い、大規模災害に備えております。

【質問】 それでは、ここからは災害時における本市のICTの利活用について何点かお尋ねをします。  まず、これまでも何度も取り上げてきた被災者支援システムについてであります。大規模災害発生後の支援体制の速やかな構築のため、罹災証明の発行から義援金の交付、援助物資の管理、仮設住宅の入居等の一元化管理ができる被災者支援システムの導入について、先日の我が会派、武藤議員の質問でも触れておりましたが、過去に何度も質問をする中で、平成24年度予算委員会の際には、平成24年度に被災者支援システムを導入する準備を進めていくという御答弁がありましたが、その後、導入された形跡はないわけであります。  

 そこで、これまでの取り組み状況はどのようになっているのか、お聞かせをください。

【答弁】 西宮市が開発をした総合的な被災者システムは、被災者情報に特化した被災者支援システムのほか、避難所と避難者を管理する避難所関連システム、緊急物資管理システム、避難行動要支援関連システム、復旧復興関連システムなどのサブシステムが用意されたシステムとなっております。  

 平成24年8月には、西宮市から検証用システムを試行導入し、平成25年度から関係課と協議を重ねておりますが、津波避難対策への対応を初めとして帰宅困難者対策、被害想定の見直しに伴う地域防災計画の改定などへの対応を優先するとともに、災害対策基本法改正後の個人情報の取り扱い等を検討するために時間を要してまいりました。  

 現在の状況でございますが、システムの検証の結果、緊急物資管理システムでは、北部地域の民間物流集積輸送拠点において、システム運用のために必要な職員を現地へ派遣するための体制構築やシステムへアクセスする方法が課題となっているほか、マイナンバーの導入などさまざまな課題が指摘され、その対応を検討している状況でございます。

【質問】 この被災者支援システムの導入については、地域防災計画の改定や災害対策基本法改正後の個人情報の取り扱いなど、いわゆるマイナンバー制度との関連から導入がおくれているようでありますが、まず今後の考え方として、西宮市が開発したサブシステムを含む総合的な被災者支援システムとしての導入を目指していくのか、お考えをお聞かせください。

【答弁】 西宮市の被災者支援システムは、サブシステムごとに導入ができない仕様となっておりますので、総合的なシステム全体を導入することとなります。そのため、本市においてもシステム全体を導入する中で使用できるサブシステムを活用してまいりたいと考えております。

【質問】 それでは、先ほどの御答弁ではマイナンバーの導入による課題も指摘されていましたが、現状におけるマイナンバーの普及度合いを考えると、マイナンバーとは切り離した本市独自の被災者支援システムとして導入すべきと考えますが、改めて御見解をお聞かせください。

【答弁】 現在、国においてマイナンバー制度の導入を積極的に推進していることから、今後、新たなシステムを導入する際にはマイナンバーについても検討しなければならないと考えております。マイナンバーを活用することにより、災害発生時に混乱する状況下にあっても本人確認を間違いなく行えることが利点としてある一方、災害時にマイナンバー通知書やカードを持っておらず、マイナンバーを確認できない人が多数いることも予想され、マイナンバーの活用については未知数な部分もございます。そのため、マイナンバー制度の活用は視野に入れつつも、これにこだわらず、他の課題についての整理を進め、被災者支援システムの運用開始に向け準備を進めてまいります。

【質問】 マイナンバーにはこだわらず被災者支援システムの運用開始に向けて準備を進めていくということでありましたが、大地震など災害はいつ襲ってくるかわからない中で、実際に本市においても大量の罹災証明を迅速に発行することが想定されますので、早期の導入に向け、いつまでに導入されるお考えか、改めて御見解をお聞かせください。

【答弁】 本市におきましても大量の罹災証明書の迅速な発行のためには被災情報をコンピューターで管理、共有するための被災者支援システムの早急な整備が必要でございます。そのため、現在までに把握している課題の解決を進めるとともに、新庁舎へ移転する際には本市のさまざまなシステムの移設などが行われることから、このタイミングに合わせて本格的な運用を開始できるよう、引き続き準備を進めてまいります。

【意見・要望】 新庁舎に移転する際には本格的な運用ができるようにということでありましたけれども、この新庁舎への移転までまだ1年半余りありますので、この間についても何らかの対応が図られるよう、重ねて要望したいというふうに思います。  

 それでは、今回は、この震災時の業務継続計画、いわゆる行政のBCPについて質問してまいりましたが、実は藤沢市議会にも災害時の対応指針ということで議会BCPとして整理をしておりまして、第3条の「連絡と情報収集」では、「議長は、各議員の安否・所在の確認と情報提供・収集体制をとり、市の災害対策本部との連携をはかる」というふうに記されています。

 とりわけ災害発生の初動期から1週間までの中期においては、各議員から地域の災害対応等、数多くの情報が議長のもとに届き、それを災害対策本部に上げることになると思いますので、ぜひともその際には可及的速やかに対応されるよう、災害時の議会対応についても十分に検証されるよう要望いたしまして、この質問を終わります。


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