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平成11年12月定例会〈一般質問〉
  「湘南新産業創出コンソーシアム事業(ベンチャー企業支援)について」

【質問】今、我が国の経済は、アジア諸国の市場競争への参入や情報技術の革新等を背景に進展する企業活動のグローバル化により、国際的な大競争の中に置かれています。このことがバブル崩壊後の経済再生を一層複雑かつ困難なものにしており、一刻も早く過去の負の資産を清算するとともに、社会経済システムを大胆に革新し、我が国の持つ技術や資源を最大限に活用できる産業構造への転換の必要性が指摘されております。
  今や日本とはうって変わって経済好調のアメリカも、かつては貿易収支赤字の急速な拡大により、経済の低迷による深刻な時期がありましたが、ここ10年来、特に中小企業の雇用者増加が著しく、中でもベンチャー企業などの新産業が雇用創出の重要な基盤となっています。こうした背景には、アメリカではベンチャー企業に対する評価が高く、失敗を容認するという社会環境があり、活発な創業活動が展開されております。勤務していた企業や大学、研究所をやめて新たな事業に参画するケースや、大学生などの若者によるベンチャー企業の誕生など、積極的に創業活動ができる背景には、こうしたベンチャー企業に対する社会環境とともに、さまざまな分野での支援環境が整っていることも重要な要素であるといえます。   アメリカの中でも特にこのような環境面の整備が整っている地域に、シリコンバレーという都市があります。今回発足した「湘南新産業創出コンソーシアム」は、このシリコンバレーの教訓をもとに誕生したようにも聞いておりますが、シリコンバレーにおいてベンチャー企業が創業していく際の環境面での特徴を見てみると、まず第一に、さまざまな研究を中心として産と学が積極的に交流し、共同でビジネスを興す上で中心的な役割を担っているスタンフォード大学があり、ここにはスタンフォード・インダストリアル・パークという産・学共同研究の重要な基盤が整備されています。次に産業集積の面では、シリコンバレーにはアップル・コンピューターを初めインテルやネットスケープなど、いわゆるハイテク産業を中心におのおのの専門領域で高い技術レベルを持った企業の集積が見られる地域となっています。しかしシリコンバレーで最も注目すべき点は、ソフト面での支援をする機関が充実していることであります。実務経験のあるコンサルタントが、技術面や経営面のノウハウを持たない起業家に対してさまざまな指導を行っていることや、創業間もない企業を設備面や資金面からサポートする機関が確立されていることが挙げられます。このようにシリコンバレーにおいては起業家を支える仕組みができ上っており、この仕組みが活発な創業やハイテク分野の発展につながってきていると言われております。  
  さて、このたび藤沢に誕生した「湘南新産業創出コンソーシアム」は、ここ藤沢の地から世界に存在感を示し、シリコンバレーをしのぐ日本を代表する新産業集積地を目指して設立されたとお聞きしておりますが、これまでどのような経緯があって発足に至ったのか、またどのようにして世界水準の新産業集積地にしていくのか組織構成とともにお聞かせいただきたいと思います。
  また、これからさまざまな事業に取り組んでいかれると思いますが、具体的にはどのように行われていくのか、事業の内容についてもお聞かせいただきたいと思います。さらに、これからコンソーシアム事業を支えていく上で財政的な支援を市が行っていくことになると思いますが、どのようにお考えなのかお尋ねをしたいと思います。

【市の答え】最初に、発足に至る経緯とどのような新産業集積地を形成していくのか、及び組織構成についてですが、御指摘のとおり我が国経済を再生して本格的な景気回復に向かわせるためには、社会経済システムの大胆な改革により、我が国の持つ技術、人材などの資源を最大限に活用できる産業経済構造への転換が必要であると認識しております。これは見方を変えてみますと、この流れを積極的に受けとめ的確な展開を図れば、国際競争の中でも大きく発展できる可能性を秘めていると考えております。
  このような認識に立ち、今年度より慶應義塾大学を中心とした各大学や各関係団体との検討を経まして、本市を中核とした湘南地方において世界水準にも届くような新産業の創出やベンチャー企業の育成を目指していく組織として発足いたしました。この地域は、シリコンバレーと同様に情報の慶應義塾大学、バイオの日本大学、技術の湘南工科大学など、我が国でも有数な大学の立地や多くの企業の研究機関の集積など、数多くの恵まれた条件を持っております。この恵まれた条件を生かし、新産業の創出を目的にベンチャー企業を目指すものと、それを支援する機関とが交流、提携、情報交換などの共同体となり、大きな力を生み出すことでこの地域が日本のシリコンバレーとも呼ばれる新産業集積地になり得ると期待しております。
  組織構成につきましては、全体の運営と管理を行う運営委員会を、市並びに慶應義塾大学を初めとした各大学、それに藤沢市産業振興財団、藤沢商工会議所及びその他関係団体で構成しております。その下に、今後具体的な事業の推進組織として、必要に応じ専門分野別の技術、資金、経営などの部会を設けていく考えであります。  
  次に、今後の具体的に取り組む事業といたしましては、積極的な交流と情報交換、新産業の現状及び将来への可能性の調査、研究事業、ベンチャー企業誕生への事業計画策定助成事業、事業具体化へ向けてのあっせんなどを予定しております。将来的には、新事業コンテスト実施と入選者への支援、投資あっせん事業、ベンチャーファンドによる支援など、新産業創出やベンチャー企業育成に役立つ事業を行ってまいりたいと考えております。  最後に財政支援についてでございますが、当面組織運営費を中心にできる限り行っていきたいと考えております。
【再質問】先ほどの御答弁の中に「ベンチャーファンドによる支援」とありましたが、資金面の課題については、ベンチャー企業を目指している人にとって資金の調達が一番のネックとされているのは、日本全国東京といえども同じだと思います。この湘南新産業創出コンソーシアムでベンチャーファンドがあると聞けばかなりの方が興味を示されると思いますが、どのような中身のものになるのかお聞かせいただきたいと思います。
  次に、これからベンチャー企業を興そうという人と、これを積極的に支援する機関(コンソーシアム)が交流提携をしていくための調整の仕方はどのようになるのか。特にこれからは、女性の起業家が多くなると言われています。アメリカでは、6秒に一人の割合で女性が起業していると言われています。いずれ日本もそうなってくると思いますが、いかがお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。  
  次に、先ほどの御答弁の中で発足の意義として「世界水準の新産業の創出やベンチャー企業の育成を目指して」とありましたが、もしそのようになっていけば藤沢市にとって貴重な財産となるわけですが、いわゆる数値的な目標として何件ぐらいの新産業、もしくはベンチャー企業を本市に誕生させていこうとお考えなのか、差し当たっての目標でも結構ですのでお聞かせいただきたいと思います。

【市の答え】 1点目の、ベンチャー支援ファンドの中身についてお答えいたします。議員御指摘のとおり、我が国における企業の資金調達は融資などの間接金融が主体で、実績と担保を確保しにくいベンチャー企業などにとりましては、育ちにくい環境となっております。一方アメリカなどにおきましては、民間や個人を中心に直接投資が盛んに行われており、ベンチャー企業が育ちやすい環境にあると聞いております。このベンチャー支援ファンドは、アメリカにおけると同様に、直接投資により資金調達の道を太くし、ベンチャー企業が育ちやすい環境を整備することを構想としているものでございます。当面は民間中心のファンド設置について検討してまいりたいと考えております。  
  次に2点目の、起業家を目指す者とこれを積極的に支援する機関が交流提携していくための調整についてお答えいたします。湘南新産業創出コンソーシアムでは、定例的な交流提携の場として全体及び専門分野別の部会の開催を考えております。会員の状況や要望などを的確に把握し、必要な情報を提供するとともに、随時交流提携の場を提供し調整も行ってまいりたいと考えております。また御指摘のとおり今後は女性、シニアなどによるベンチャー企業の誕生がふえてくると認識しておりますので、これらの方々の積極的な参加を期待しております。  
  3点目の、当面の具体的な目標についてでございますが、このコンソーシアムは新産業創出やベンチャー企業の育成に当たって、その支援の環境整備を目指したものでございます。そのために、具体的に何件という目標の設定はしておりませんが、1件でも多くの新産業やベンチャー企業の誕生を目指しているということで御理解いただきたいと思います。
【要望】先ほども触れたように、ベンチャー企業や新産業にとって何よりも大変なのは資金調達だと思います。アメリカのようにベンチャー企業が育ちやすい環境にあるのは、ベンチャーキャピタルの活動が活発だということが挙げられると思いますが、今回の湘南新産業創出コンソーシアムで検討されているファンドがベンチャーキャピタル的なものであるならば、コンソーシアム事業の中でベンチャー企業の育成とあわせて一般投資家の発掘、育成も行っていくべきだと思います。と同時に、民間の一般投資家が思うように進出してこないのであれば、市としても何らかの形でベンチャーキャピタル的な活動をせざるを得ない場合もあると思いますが、まず民間のベンチャーキャピタル活動が起きてくるよう対策を立て、取り組んでいただきたいと思います。
  次に、当面の目標として数字的なものはまだ出てきていないようですが、コンソーシアム事業はこの藤沢の地における新産業創出が大前提でなければ、市が財政的支援をする意味が全くありません。そのような意味からも、目標を立て戦略的に推進していくことは重要だと思いますので、できるだけ早期に御検討いただきたいと思います。なぜならば、これまで湘南新産業創出コンソーシアムの報告会や発足式など私も出席させていただきましたが、参加者の多くが市外それも東京や横浜など大都市の企業関係者が多かったようで、このことはコンソーシアム事業の中から生まれてくる研究の成果や技術力を大都市においてベンチャー企業や新産業として創業するのではないかという心配をしております。そういった意味からも、藤沢市にどれだけ新産業の集積が興していけるかという面から、目標と戦略を立てて推進していくべきと申し上げました。と同時に、コンソーシアムではソフト面重視でのスタートとなりましたが、ベンチャー企業や新産業が藤沢市において創業していくことには、ハード面も必要不可欠なものだと思います。せっかくベンチャー企業を立ち上げたくてもオフィスがない、研究所がないでは定着してこないと思います。最初の御答弁の中に、「この地域が日本のシリコンバレーと呼ばれる新産業集積地になり得ることを期待している。」とありましたが、そうなるためにも今申し上げた何点かの要望についてはぜひ御検討いただきたいと思います。


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