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平成11年12月定例会〈一般質問〉
  「音楽療法について」

【質問】心に安らぎを与え心身を躍動させる音楽の特性を生かして、高齢者の痴呆症や障害者のリハビリに活用する音楽療法が今注目を集めつつあります。特にアメリカにおいて第一次大戦後傷病兵の心身をいやす目的で音楽が用いられ、さらに精神科医たちが精神病者たちに用いるようになり、内科医たちも不眠症やさまざまな身体の症候などに対しても音楽療法を処方するようになりました。以来、欧米では音楽療法を医療の一部と考え、音楽療法士の資格を国が認め、人材を養成する大学や専門学校などが設立されるようになりました。  
  さて、我が国における音楽療法の歴史ですが、昭和42年になってようやくアメリカやヨーロッパで行われている本格的な音楽療法が紹介され、昭和61年、音楽が人間に与える生理的、生化学的な影響を医学的に研究する日本バイオミュージック学会が設立され、音楽療法の普及に先駆的な役割を果たしてきました。現在は、平成7年に結成された全日本音楽療法連盟が音楽療法士の資格認定を行い、人材の養成を行っております。しかしながら、我が国においては音楽療法士の国家資格と音楽療法に対する保険点数の適用が認められておらず、多くの方たちはボランティアとして活動されているのが実態です。そのような現状の中にもかかわらず、音楽療法を実践している現場からはその効果についてさまざまな報告がされております。「痴呆症の高齢者が、軍歌、童謡、子守歌、懐メロを歌ったり聞いたりすることで記憶が蘇り問題行動が減った。」また「言葉を発しない障害者や自閉症者が、音楽を通して心を通わせるようになり、言葉に出して意思をあらわすようになった。」また、「ホスピスにいる患者の心身の苦痛が緩和され、投薬する鎮痛剤が減ったり、睡眠薬がなくても眠れるようになった。」など、人間的な温かさを感じさせる効果が報告されております。  
  先日私も、4年ほど前から音楽療法を本格的に実施されている名古屋市福祉医療センター厚生院で実際に音楽療法を行っているところを見学させていただきました。参加されていたのは、ここの特別養護老人ホームに入所されている方のうち15人ほどでしたが、内容としては昔懐かしい歌を合唱したり、音楽のリズムに合わせて発声や指の体操をしたり、打楽器演奏などを楽しく繰り広げていましたが、参加されていた人たちは次第にさまざまな反応を示し、当初全く口をきかなかった人が突然話し出したり、無感動だった人が突然涙を流し始めたり、硬直して動かないはずの手足が動き出すなど、驚きと同時に感動をいたしました。終了後、厚生院の方からお話を伺ったところ、ここでは一回約1時間月3回のサイクルで6カ月を1クールとして年間2クールの実施をしてきており、と同時にこれまでさまざまな角度から科学的に効果を測定していて、中でもアルツハイマー型痴呆例の測定結果によるとQOL(生活の質)の改善が見られており、同時にADL(日常生活活動能力)についても向上しているというデータ結果が示されているとのことでした。
  このように、音楽療法の行われている現場からは、その効果を立証する例がさまざま出てきているのが実態です。そこで、本市における音楽療法への取り組みについてお尋ねしますが、これまでのところ音楽療法を一部取り入れて試行的な実施をされているとお聞きしておりますが、実施状況と指導に当たられている方の人数、資格、並びに報酬についてお聞かせいただきたいと思います。また、これまで実施してきた中での研究と効果についてどのように評価しておられるのか、あわせてお尋ねをいたします。

【市の答え】 音楽療法への取組としては、平成8年から機能訓練室におきまして所定の訓練を修了した方々でつくる自主訓練会の方を対象として、月1回程度の割合で実施をいたしております。南保健センターで指導しておりますのは、大学及び大学院で音楽を専攻し、臨床心理学や精神医学等を学んだ方で、毎回2名程度で指導訓練に当たっていただいております。なお、報酬につきましては一人1回5,000円でお願いをいたしておるところです。  
  次に、音楽療法の効果についてですが、本市の機能訓練では、歌や管楽器の演奏による心肺機能の向上や打楽器による手や指の機能訓練、言語障害の改善のほか、気持ちを和らげたり歌による脳の活性化等が見られ、参加者に大変好評であります。さらに参加者相互の心の交流にも大変役立っておりまして、12月21日火曜日の午後1時から機能訓練の自主訓練グループによります歌の発表会が開催をされる予定です。このように、機能訓練の中に音楽療法を取り入れることによりまして、言葉の発声や手や指の機能回復を初め、仲間づくりや生活の張り、気力の回復を図ることができるのは大変大きな効果と、このように考えておるところです。
【再質問】
先ほどの御答弁によりますと実施による効果はあると認識されているように解釈させていただきましたが、残念ながら本市では音楽療法士による療法は南保健センター1カ所のみで行われているようです。この音楽療法の効果は多岐にわたるわけですが、特に痴呆症予防や脳血管障害など、高齢者の方に対しては非常に効果があることは、これまでの研究の成果などから見て十分立証されていることから考えますと、今後高齢者施設などでぜひ取り入れていくべきだと思いますが、この点どのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  と同時に、科学的な分析については残念ながらこれまで効果を測定しながらの研究は実施していないようですが、1回目の質問でも御紹介したように、生活の質の指標であるQOLや日常生活活動能力の指標であるADLなど、科学的なデータを取りながら進めていくことは音楽療法を評価する上で重要な観点だと思いますが、高齢者の特に痴呆症予防対策として科学的なデータの収集はぜひ取り入れるべきだと思いますが、どのようにお考えでしょうか、お尋ねをします。
  また仮に今後音楽療法の導入を拡大していくとした場合、どうしても不足してくるのが指導に当たる音楽療法士の数だと思います。既に岐阜県や奈良市などでは自治体による音楽療法士養成が行われているようですが、本市でもこのような音楽療法士養成等、講座などを設けていかれた方がいいと思いますが、この点についてもお尋ねをいたします。

【市の答え】 高齢者施設での音楽療法の取り入れについての考え方ですけれども、現在市内の特別養護老人ホーム等におきまして入所者あるいはデイサービスを受けておられる方々に、ホームの職員あるいはボランティアの方々によりまして音楽の取り入れを行っております。具体的には合唱でありますとか楽器の演奏等行っているわけでして、そういった中で大変効果があるというふうにも聞いておりますし、また入浴時におきましては入浴場に音楽を流すというようなことを実施いたしておりまして、それぞれの特養においても大変効果があるというようなことは私ども承っておるところです。市といたしまして、今後ただいま御質問の中にもございましたように先進市の状況でありますとかあるいは市内で行っております状況がどういうような状況なのか、そういった情報の収集に努めまして、それぞれの特養等にそれらの情報の提供をして、音楽療法の効果があるということでございますので積極的にサポートをしてまいりたい、このように考えております。  
  2点目の科学的分析について取り入れる必要があるのではないかというお尋ねですけれども、この科学的分析ということにつきましては、現在日本バイオミュージックという機関で精神科医との連携の中で、お年寄りの脳波の活動状況を測定しながら実際に実施しておると、このようなことも聞き及んでおります。しかしながら、この科学的データを得るということになりますと、極めて専門的な手法によりまして実施をするということになってまいりますので、藤沢市においてそういった科学的データをとるというのは大変難しさがある、このようにも思っております。しかしながら、大変効果があるというような状況もございますので、大学あるいは研究機関、これらでどのような手法で行っておるのか、そういった実態を確認をさせていただきながら今後十分に研究してみたい、このように思っておりますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。  
  3点目の、音楽療法士の養成についてでございますけれども、音楽療法士につきましてはまだ国家資格の制度となっておりません。現在音楽療法士としての認定を得ますには、日本バイオミュージック学会あるいは臨床音楽療法協会の正会員になることが義務づけられておるようでございます。したがいまして、現在我が国には日本音楽療法士連盟で認めております療法士認定者が約200人おる、このように確認をいたしております。近年県内の東海大学あるいはそのほかの大学におきまして音楽療法士を養成する講習会を定期的に開催をしておるというようなことも聞いておりますし、また市内にボランティアのグループと言ってよろしいのでしょうか、音楽療法の講習を定期的に開催をしております研究グループがある、このようにも聞いております。したがいまして、音楽療法士を養成するということになりますと専門的な設備でありますとか専門家を必要とします。したがいまして、県内にそういった養成の機関もできてまいりましたので、市といたしましては今後そういうところで養成されました人材を活用する、このように考えておるところでございます。
【再々質問】先ほどの御説明によりますとデイサービス等高齢者施設で音楽を使ってのものはやっておられるという御説明がありましたけれども、そういったものを一般の職員や専門的知識がないボランティアの方にお願いをしてやっていくより、専門的で、より効果的な音楽療法として実施をした方が、いわゆる介護予防というこれから起きてくる課題に対しても一つの対応策となるのではないかと思います。そういった意味から、ぜひ市が窓口となって音楽療法士や音楽療法士を目指す方たちと高齢者施設等との橋渡し的な役割を担っていただきたいと思いますが、お考えをお聞かせ下さい。
【市の答え】 今後高齢者保健福祉施設、こういったところにおきまして音楽療法がさらに進んでまいりますように十分に関係の方々に対しましての協力要請をしてまいりたいと思っております。


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