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平成16年12月定例会〈一般質問〉
  「災害弱者対策」について

【質問】 要旨「災害弱者対策について」お伺いを致します。  ご承知のように、今年は台風や豪雨による風水害が相次ぎ、さらに10月には新潟県中越地震により大きな自然災害を受けました。  
 また、中央防災会議が昨日発表した首都直下地震の被害想定では、最悪のケースで死者は東京、神奈川、埼玉の1都2県で約1万2000人と、阪神大震災の2倍となり、さらに、想定される死者の40%近くは、高齢者や体の不自由な方達であると言われております。  
 このように、いざ大災害が発生すると、高齢者や障害者などの「災害弱者」は避難行動にもハンディがあり、どうしても被害を受けやすくなりますが、日頃の心掛けや対策で被害を最小限に食い止めることは十分可能であり、そのためにも行政は、多様な災害弱者に対応したきめ細かい防災マニュアルを準備しておく必要から、本市でも、「災害弱者支援マニュアル」を作成するなど、その重要性は十分に認識されていると承知をしておりますが、改めて災害弱者支援策の充実に向け克服すべき課題とその方策について何点かお聞きをしたいと思います。  
 まず、災害弱者の安否確認や避難誘導に欠かせない、災害弱者の情報共有についてでありますが、実際、災害弱者を避難誘導させるためには、どこに災害弱者がいるのかの情報を的確に把握し、援護者の救援に向かわせることができるかが大きな鍵とになりますが、現実には災害弱者の情報公開がプライバシー問題の壁に阻まれて共有できないといった課題があり、それがために避難誘導が遅れるといった問題が発生してきます。  
 そこで、この問題への対応策として考えられるのは、一点目として、災害弱者の情報を非常時だけ公表することを前提に金庫にしまっておく「金庫方式」で、基本的に本市は、この方式を採っていると思います。  
 また二点目として、要援護者みずからが名乗り出る「お手挙げ方式」というもので、中野区・新宿区・小田原市などですでに実施をされており、この情報を元に災害弱者マップを作る自治体もありますが、やはりプライバシーの問題もあって、実際に手を挙げる人は全体の2割程度と極めて少ないようであります。  
 そして三点目として、京都市ほか数市で実施されている、地域の人が情報を持ち寄ってつくる「手作り方式」というもので、手間と時間は掛かりますが、自主防災組織などが地域の中を歩き回って情報を集め、台帳やマップにするこの手作り方式が、防災福祉コミュニティの形成や災害弱者の補足率を高める意味では有効でると考えられますが、本市では災害弱者の情報共有についてどのようにお考えか、ご見解をお聞かせ頂きたいと思います。  
 また、本人の同意が得られた要援護者情報を紙ベースの名簿で持っていても緊急時に機能しないことも予想されますが、すでに防災情報のツールとして運用されているGISを活用し、要援護者マップを作成することも可能だと思いますが、お考えをお聞かせ頂きたいと思います。  
 そして、このように要援護者情報をデータベース化することは個人情報の目的外利用にあたると思いますが、予め備えるべき情報の内容や情報管理体制の確保を明確化するなど、条例を整備することで効果的な運用が可能になると考えますが、併せてご見解をお聞かせ頂きたいと思います。  
 次に、災害発生時だけでなく、避難所や仮設住宅での生活についても、きめ細かい災害弱者対策は不可欠であります。実際に阪神・淡路大震災では、バリアフリーの問題など、避難所の中で非常に気の毒な経験をされており、今回の新潟県中越地震でも同様な問題点が指摘をされております。  
 そこで、避難施設におけるバリアフリー対策の確認視点として、一つには、高齢者や身体障害者など、行動に制約のある「行動弱者」の視点から、そしてもう一点は、視聴覚障害者や外国人など、災害情報の収集や伝達にハンディがある「情報弱者」 の視点が欠かせないと思いますが、本市の避難所バリアフリー対策の具体的方針をお聞かせ頂きたいと思います。  
 また、仮設住宅については、近年かなり柔軟な設計が認められるようになってきてはいるものの、まだまだ画一的な面が多く、バリアフリー対策にも改善すべき点が多いと思いますが、仮設住宅のバリアフリー化については、入居者の条件等により柔軟に対応することは可能なのかお聞かせを頂きたいと思います。  
 また、阪神・淡路大震災の教訓としては、行政の善意として、災害弱者を優先的に仮設住宅へ入居してもらったため、特定の地域に災害弱者が集中的に生活することになってしまい、地域コミュニティが形成出来ず、反って孤独化を進める結果となってしまいましたが、むしろ、健常者と災害弱者が混在する自然な形のコミュニティを維持し、地域全体で災害弱者を支えるために、地域単位で仮設住宅に入居することが好ましいと考えますが、本市ではどのようにお考えかお聞かせを頂きたいと思います。  
 次に、災害弱者を支援するために、防災福祉コミュニティとして必要な力は若い力であろうかと思います。特に要援護者を誰が助けるのかという場合、若い人の協力は不可欠となってきます。  
 そこで、神戸市では阪神・淡路大震災以降、中学生や小学生によるによるジュニアチームを結成し、毎月1回、防災訓練を実施するなど全員が市民救命士の資格を取得しており、震災の教訓を学ぶフィールドワークなどを通じて地域の防災力を高めております。  
 また、静岡県御殿場市では、高齢者や障害者など災害時要援護者の安否確認と避難誘導を複数の地域住民ボランティアが担当するシステムを構築し、この中には、中学生や高校生もボランティアに名を連ねており災害弱者支援に一役買っております。  
 そこで、当然自分の身を守ることが大前提になりますが、被害を少しでも軽減させるため、子どもたちにも地域の一員としての役割を果たしてもらうことは、決して悪いことではないと考えますが、本市では、こうした若い力を子供ボランティアとして育成していくことについて、どのようにお考えかお聞かせ頂きたいと思います。  
 災害弱者対策の最後になりますが、要援護者みずからやそのご家族が、日頃から地震が起こった際の心構えや正しい行動がとれるように事前の準備をしておくことは極めて重要になります。また、地域住民の方との防災福祉コミュニティを強化することが求められていると思います。  
 こうしたことから本市では、災害弱者やそのご家族、そして地域住民の方にも役にたつよう「災害弱者防災行動マニュアル」の策定に現在取り組まれていると思いますが、マニュアルの実効性を高めるためには、災害弱者のニーズを的確に取り入れる必要があり、その為には当事者の参加を得ながら策定していくことが不可欠になりますが、本市ではどのように取り組まれているのか、そして、今後どのように活用していこうとお考えなのか、お聞かせを頂きたいと思います。

【総務部長の答え】災害弱者対策についての1点目の災害弱者の情報提供についてお答えいたします。  
 災害時要援護者の情報につきましては、安否確認や避難誘導に欠かせない反面、共有化については、個人情報の取り扱いとしての課題があります。「地域の人が情報を持ち寄る手作り方式」につきましては、議員ご指摘の通り、地域で関係者が自主的に情報を共有することとなり、大変有意義な手法と理解しております。  
 本市におきましては、市で保有する障害者の方の情報、また、民生委員による調査を反映させた高齢者の方の情報を個々にリストとして、個人情報の保護の観点から、非常時だけ活用する方式をとっております。市といたしましても、このような地域での情報を基にした地域組織での活動と行政の活動が、相互に展開されることで、災害時の要援護者への適切な対応が図られると考えております。  
 また、GISや地図情報等を活用した事例としては、消防の司令システム、防災GISなどがございますが、汎用的に活用される段階になろうとしている過渡期にあります。GIS等の活用については、個人情報の保護の問題や災害時のシステムの安定稼働の確保等、現時点での活用が困難な状況があります。当面、行政内部における検索等のシステムとしての検討課題とさせていただきます。  
 さらに、情報の共有化については、情報の内容及び管理体制、情報と市民との接し方等に関する制度的な整備につきまして、充分検討を行う必要があるものと考えております。
 避難施設バリアフリー化の具体的方針についてお答えします。議員ご指摘のとおり、避難所や仮設住宅における災害弱者対策の重要性が、いくつかの災害の状況から指摘されております。  
 本市の避難施設における「行動弱者」の方々に対する具体的な対策として、出入り口の段差解消策としてのスロープや手すり、車いすが使用できるエレベーターの設置、トイレ対策としての車いす用トイレの整備等をこれまで行ってまいりました。
 平成16年12月現在の進捗状況につきましては、小中学校合わせて合計54校中、出入り口の段差解消策としてのスロープは、85.1%、車いすが使用できるエレベーターにつきましては昼食搬送用を含めると87.0%、手すりにつきましては100%、身障者や高齢者等が使用する車いす用トイレにつきましては、99.1%の設置率となっておりますが、引き続き大規模改修や、改築に合わせて整備を図ってまいりたいと考えております。  
 一方「情報弱者」の対応につきましても、外国籍市民に対して5カ国語で作成した災害時の事前・事後対策を記載した防災マニュアルを配布したり、避難施設や防災拠点など主要な施設を記載した防災マップを6カ国語で作成し、今年度中に鉄道の各駅に掲示していくなど、一定の対応を図っておりますが、課題である視聴覚障害者への対応も含め、今後さらに実効性のある対策について検討を進めてまいりたいと考えております。  
 また、仮設住宅については、市内の都市公園を中心に災害時必要な数を建設することになっておりますが、バリアフリー化につきましては、新潟中越地震での仮設住宅では現在までのところ、一部要望により、スロープ、手すりなどの対応がされているのが現状となっています。今後、県とも調整を図り、災害時における対応をしてまいりたいと考えております。  
 その入居にあたっては、コミュニティーが形成しやすい地域ごとの入居ができるよう配慮するなど、できるだけ柔軟な対応を図ってまいりたいと考えておりますのでよろしくお願いします。  
 次に、3点目の中高生の災害ボランティア育成についてお答えします。中高生の若い力の活用については、高齢社会の進展の中で、社会のさまざまな分野において重要であり、災害対策上も必要不可欠であると認識しております。  現在、毎年実施しております本市の総合防災訓練において、災害時要援護者の支援として中高生が訓練に参加しておりますが、より多くの中高生の防災意識の高揚が重要でありますので、今後とも、こうした訓練への参加等について積極的に推進してまいりたいと考えております。  
 続いて4点目の災害弱者防災行動マニュアルについてお答えいたします。災害発生時における被害をできる限り少なくするためには、地震等災害に対する心構えや適切な行動について把握するなど、日頃の準備が大切です。
 特に、一人暮らし、寝たきり及び高齢者のみの世帯の高齢者など、災害時の対応が一人では困難な災害時要援護者の方々が、災害時の行動が適切にとれることは大変重要な課題であると認識しております。 このため、より実情に即した実効性のある災害時要援護者の行動マニュアルの作成に向け、現在、さまざまな角度から検討し、関係各課とも調整を図る中で進めております。  
 今後、災害時要援護者の方々の様々なニーズを取り入れ、より実効性ある行動マニュアルを作成するとの観点から、議員ご指摘の、当事者の参加や福祉関係機関、地域の自主防災会等との連携を図ってまいります。  
 また、その行動マニュアルの活用につきましては、災害時要援護者へお知らせするとともに、地域の自主防災会等とも連携を図る中で、進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いします。  

【再質問】まず一点目の、災害弱者の情報共有についてでありますが、個人情報の取り扱いとしての課題は有るものの、地域の人が情報を持ち寄る手作り方式のような情報を基に、地域組織での活動と行政の活動が相互に展開されることで、災害時の要援護者への適切な対応が図られるのではないかといったご答弁でありましたが、その様にお考えであるならば、自主防災組織を始めとした地域への働きかけはどのように進めていこうとお考えなのかお聞かせを頂きたいと思います。    
 次に、避難施設におけるバリアフリー化についてでありますが、「行動弱者」への対応として、出入り口の段差解消のスロープやエレベータの設置など未整備のところは、大規模回収や改築に併せて整備を図っていきたいというご答弁でしたが、%ではなく、あと何校残っていて何時までに整備を終えようとお考えなのか、もう少し具体的にお応えを頂きたいと思います。  
 また、「情報弱者」への対応として、課題である視聴覚障害者への対応を含め、実効性のある対策について検討を進めていくというご答弁でしたが、いつまでに対応策を纏めていくおつもりなのかお考えをお聞かせ頂きたいと思います。
 次に、子どもボランティアの育成についてでありますが、毎年実施している総合防災訓練への参加を推進していきたいというご答弁でしたが、はっきり言って、これでは今までと何も変わらないということになりますが、中高生などの若い力は災害対策上、必要不可欠であると認識されているので有れば、年一回、一カ所だけ行う総合防災訓練だけではなく、ある一定の仕組みを作って、より実効性のある取り組みを図るべきではないかと思いますが、再度、ご見解をお聞かせ頂きたいと思います。  
 最後に、「災害弱者防災行動マニュアル」についてでありますが、中身の濃いものをお作り頂いているようですので完成を待ちたいと思いますが、配布はいつ頃から実施する予定なのかお聞かせを頂きたいと思います。
【総務部長の答え】1点目の災害弱者の情報共有について、自主防災組織を始めとした地域への働きかけはどのようにするのかについてお答えします。  
 現在、災害対策課では、防災講演会や防災講話、地区防災訓練の打ち合わせなど、地域の方々と顔を合わせ会話のできる機会が数多くございますので、各自治会に対し災害時の安否確認が確実に行われ、また、安否確認が行われることにより災害情報の共有化も図れることから、引き続きこの点につきましては更に意欲的に働きかけをしてまいります。なお、現在まで地域の一部で、すでに名簿の整備を図り災害時の安否確認ができる体制を整えている地区もございますので、この例を参考とさせて頂き、働きかけをしてまいりたいと考えています。  
 2点目の避難施設のバリアフリー化では、あと何校残っていていつまでに整備を終えるのかについてお答えします。  今後の計画といたしまして、エレベーターにつきましては、小中併せて7校が未設置で、その内3校が大規模改修工事予定校であり、またスロープにつきましては8校が未設置で、その内5校が耐震補強工事予定校であります。 大規模改修工事、耐震補強工事につきましては、平成16年度から平成20年度までの5ヶ年計画で事業を進めておりますので、この工事の中でバリアフリー化を進めてまいりたいと考えております。
 また、大規模・補強工事予定校以外の対象校につきましては、年次計画でバリアフリー化に努めてまいりたいと思います。  
 3点目の視聴覚障害者への対応策はいつまでにまとめるのかについてお答えします。現在、各小学校において、学校区を中心とする地域の方々と学校長、行政とが一同に会して、避難施設運営マニュアルの充実を図るため協議を進めており、議員ご指摘の視聴覚障害者への対応についても重要な位置付けとなっております。具体的には、点字による掲示板やトイレへの案内用ロープ、文字情報など避難施設の運営委員会が行うべき内容として取り組んでいるところであります。計画といたしまして、今年度は全小学校を来年度は全中学校を実施計画しています。
 また、その他の避難施設であります県立高校や私立校、大学についても今後早い時期に実施していきたいと考えていますので、よろしくご理解をいただきたいと思います。  
 4点目の子供ボランティアの育成については一定の仕組みが必要ではないかについてお答えします。現在、教育委員会では、「自分を生かし人に役立つ子どもたち」をめざし、学校教育ふじさわビジョンを昨年度、冊子としてまとめ、学校教育の一環として教育を実施しているところでございます。  
 また、体験的な学習、特にボランティア的活動など、社会奉仕体験活動、自然体験活動、その他の体験活動を幅広く実践しております。  防災訓練というものも、そのような中の一つの活動として考えており、今後、各学校、災害対策課など、関係各課と連携を図る中で学校教育活動との関連性を図ってまいりたいと考えております。
 5点目の災害弱者行動マニュアルの配布はいつ頃になるのかについてお答えします。災害時要援護者の行動マニュアルの作成及び配布につきましては、関係各課ともさまざまな角度から検討を進め、当事者の参加や、福祉関係機関及び地域の自主防災会等との連携等を図る中で、概ね来年度の半ばを目処に作業を進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくご理解をいただきたいと思います。
【要望】災害弱者対策としての子どもボランティアの育成については、学校教育の一環として、防災訓練もその中の一つの活動として考え、今後、関係各課と連携を図り学校教育活動との関連性を図りたいとご答弁頂きましたが、藤沢ボランティアネットワークや地域自主防災組織との関連性についても、是非、追求していって頂きたいと思いますので、ご検討をお願いいたします。


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