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平成16年6月定例会〈一般質問〉
  「電子自治体の構築・自治体版CRM」について

【質問】 件名1.「電子自治体の構築について」 要旨「自治体版CRMシステムについて」 お伺いを致します。  
 情報技術(IT)を活用した業務効率化、住民サービスの向上など、地域活性化を目指す「電子自治体」に向けた動きが全国で加速しております。なかでも、住民を行政サービスの顧客と見なし顧客満足(CS)を追求しようという顧客情報管理いわゆるCRMシステムの活用が注目をされております。  
 このCRMとは、カスタマー・リレーションシップ・マネジメントの略で、特に民間企業において導入が先行していますが、考え方としては、顧客を中心に捉えた戦略を作り、戦略に沿う形で業務プロセス・組織・人を整え、事業の円滑な運用のためにITを導入する一連の概念を意味するもので、必ずしもツールの名称ではなく、その目的は、顧客と長期的に良好な関係を維持・発展させることにあります。  
 そして、その為には、事業の維持・拡大を図りながら、いかにして顧客一人一人のニーズに対応したきめ細やかな商品、サービスを提供するか、また、顧客へのきめ細やかな対応を通じて、そこで得られる知見をいかにして新たなサービスの開発・改善へと繋げて行けるかが鍵となります。  
 また、この顧客との双方向の関係を構築し、持続させていくことがCRMシステムであると言われており、どこまで住民の視点に立ったサービス提供できるかが電子自治体成功の鍵であることからも、このCRMシステムの概念をいかにして自治体に応用していくのか大いに検討してみる必要があります。  
 また、このような顧客に対する姿勢の変化は、同時にCS(顧客満足)の重要性を認識する必要があります。そこで、行政機関の顧客とは「市民」ということになりますが、どのようにすればCSを向上させることが出来るのかと考えたとき、CSに最も強い影響を及ぼすのは顧客との接点ごとの対応、つまり市民と行政の直接の接点に一つの課題があると言えます。  
 中でも一番最初の接点となるのは、日常的な電話の問い合わせであると思いますが、一般的に市民が行政機関に問い合わせたり、苦情・提案等がある場合、公開されている大代表の電話番号にかけたり、せいぜい想定される対応可能な部局の番号まで調べて電話をすることになります。さらに、一度で直接の対応部署・担当職員にまで電話がつながることは少なく、俗に言う「たらいまわし」とされることが多く見うけられます。  
 これらは主に行政事務の複雑性や、隣の部署が何をしているのかわかっていない「縦割り」が原因であると考えられますが、「たらいまわし」がCSを著しく低下させることは言うまでもなく、市民との直接の接点で不快な印象を持たれてしまうと、他の方法でCSを向上させるのは容易なことではありません。  
 しかし、最近ではこの問題に対して「コールセンター」の導入で解決を図ろうとする自治体が現れてきております。すでに新聞報道等でご承知のように、横浜市がコールセンターシステムを今年の3月から港南区、旭区、青葉区の3区で試行し、来年2月には全市で実施する計画と聞いておりますが、このコールセンターについては、札幌市が昨年4月、市政総合案内に利用する「ちょっとおしえてコール」を全国で初めて開設したことが大きな話題となりました。
 そこで、札幌市では、これまで市民からの問い合わせは電話交換台で用件を聞き、内容に応じて関係部署に取り次いできましたが、コールセンターではオペレーターが交換台に替わって電話に出て、その場で問い合わせに応じ、答えられない質問や苦情だけを関係部署に取り次ぐことにしましたが、こうした対応を可能にしたのは、よくある質問のデータベース化にあります。  
 これまで難しかったオペレーターによる幅広い分野についての対応を、ITを使った情報を共有化することで可能となり、事前に関係部署の職員が策定した想定問答をパソコンに入力してデータベース化しておき、オペレーターがパソコンに問い合わせ事項を入力して回答を検索し、画面を見ながら答えるもので、市民からの問い合わせをたらいまわしにせず、夜間や土日の問い合わせにも対応しており、今では市民からの問い合わせや苦情の98%をコールセンターで解決するなど、コールセンターに対する市民満足度調査では10点満点中9.6の高得点を得ているようであります。  
 また、データベースには約2000件の問答集が蓄積されており、これは同市のホームページにも公開し、やがて市民に浸透すれば、問い合わせはホームページで済まされるものが増え、将来的に問い合わせが減ることも期待されております。  
 さらに、コールセンターに寄せられた意見・要望やそれらに対する回答・対応方法などの情報が大量に蓄積された市民の声データベースとして、施策立案や業務改善の参考にもされております。  
 このように札幌市のコールセンターは住民を顧客と見立てた自治体版CRMの一環であり、市民と行政の古くからの関係を大きく変えつつあると言えます。  また、浜松市では、市民からの問い合わせ窓口を一本化した上で、市民から寄せられた意見をデータベース化して全庁で閲覧できる「市民の声システム」を2002年4月から運用しており、市民のニーズを把握し、政策立案の際の参考資料として活用していますが、同市ではこのシステムを導入する前から、市民からの意見の受付から担当部署が回答するまでの業務の流れを「浜松市市民の声取り扱い要項」で全庁的な統一ルールとして整備しており、これをIT化することによって効率化を図ったもので、2001年には2276件のデータが蓄積され、2002年にも2376件をデータ化し、今後は、集められた市民の声の分析手法を研究し、いかに政策に反映させられるかを検討することが課題のようであります。  
 また、横須賀市では、電子市役所推進戦略として、市民と行政との情報共有を目指し、市民からどのような意見や苦情等が寄せられ、それに対する市の回答や考え方を市職員や市民の誰でもが閲覧できるようにすることによって、市職員の問題意識を喚起し、市民の目線で課題解決に取り組むとともに、市民がより積極的にまちづくりを考えるきっかけとなるよう「ボイスバンク」という形で市民の声をデータベース化し、インターネット上で公開をしております。  このように住民ニーズをより意識した政策を実現するために、札幌市や浜松市、或いは横須賀市のような取組が成熟すれば、多くの住民の声を集約でき、その情報がスムーズに行政組織の中を流れることで、市民と行政の関係がより深まって市民満足度が高まることになり、市民主体の地域社会の創造に一歩近づくと言えますが、そのためにも自治体におけるCRMへの取り組みを検証する必要があります。    
 そこで、本市でも自治体版CRMの一環として「電子市民会議室」を設け、全国的に先行した取り組みをされている点は高く評価されますが、今まで申し上げてきた点について何点かお尋ねをして参ります。まず、市民からの意見・要望等について本市では、電話・FAXを始めインターネット意見提案箱などで対応していると承知しておりますが、これらの市民の声は、一日約何件ぐらい寄せられており年間ではどのような状況にあるのか、そして、これら様々な形での問い合わせに対し、全庁的に対応するための一貫した処理システムの流れは出来ているのかお聞かせ頂きたいと思います。  
 また、これらの市民の声をデータベース化して施策立案に活かすとともに、顧客サービスの向上という観点で、コールセンターの設置についてどのようにお考えなのかお聞かせをいただきたいと思います。

【市民自治部長の答え】「自治体版CRMシステムについて」お答えを致します。  
 市民からの意見・要望等につきましては、平成15年度実績では、わたしの意見・提案、陳情、インターネット、電話、FAXなど年間939件ありまして1日平均では、約4件となっております。  
 広聴手段の内容としましては、多い順に@インターネット360件Aわたしの意見・提案箱303件B電話・来庁・テレフォンファックスメール167件C手紙・ハガキ88件D陳情21件となっています。  
 次に、様々な形の問い合わせに対し、全庁的に対応するための一貫した処理システムにつきましては、藤沢市市政情報提供及び広聴に関する処理システムといたしまして、わたしの意見・提案制度実施要綱並びに、わたしの意見・提案制度事務処理要領によりまして施行しております。  
 システムの流れといたしましては、市役所、各市民センターに設置されております、わたしの意見・提案箱等から、提案者の意見・提案等が市民相談課に届きますと、市民相談課では、業務担当課の振り分けをしまして、業務担当課に回答依頼をします。業務担当課では受理・検討・回答作成、文書起案、部長決裁を経て、直接提出者に回答をします。業務担当課からは、市民相談課に回答内容等を記した対応結果報告書が提出されますので、部長決裁を受け市長までの供覧としております。  
 提出者への回答は受理してからおおむね2週間以内に回答することを原則としております。  
 次に市民の声のデータベース化及びコールセンターの設置につきましてお答えいたします。  
 本市では、市民との協働による市政運営をめざしているところであり、市民電子会議室や意見・提案箱、くらしまちづくり会議等集団と個人を対象とした広聴施策を実施しているところでございます。  
 市民の声をデータベース化し施策立案に活かすことにつきましては、市民からの意見・提案の中から、日常よく問い合わせがあるもの、提案が市政に反映されたもの、広報した方が良いと思われるもの、話題性のあるものなどにつきまして、意見・提案とその回答を要約したものを、「しみんのこえQ&A」として、平成15年10月より年4回、各回約10件程度を市民相談課ホームページに掲載しております。  
 今後この「しみんのこえQ&A」の充実を図りながら、各課への問い合わせなどもデータ化し、Q&A拡大版としていくことを検討してまいりたいと考えております。  
 次に、コールセンターの設置につきましては、市民の声などのデータベース化により、簡易な問い合わせなどの回答が容易に行えるシステムの構築なども含め、今後の課題として研究させていただきたいと考えております。  

【再質問】自治体版CRMについてでありますが、市民からの意見・要望等の受付件数としては、年間939件と言うことで、この件数自体が多いか少ないかは別としましても、市民と行政が接するこの場面での対応が、先程も申し上げたとおり、市民満足度に関わってくると思います。  
 そこで、何点か確認をしていきたいと思いますが、まず、提出者への回答は受理してからおおむね2週間以内に回答することを原則とする。となっておりますが、実際にこの点はどの程度実行されているのか、お聞かせ頂きたいと思います。  
 また、市民からの意見・提案等が市民相談課に届くと、業務担当課に振り分けて回答依頼をしているようですが、おおむね2週間の回答期限に対し、どのような進捗状況にあるかを確認する体制が充分なのかという点であります。  先程、浜松市の例を少し紹介しましたが、浜松市では、要綱で定めた市民の声を処理する流れをIT化して、全庁的に統一したルールの元で管理をしています。  
 具体的には、インターネットによる「市長のご意見箱」では、フォーム形式で寄せられた意見を自動的にテキストデータとして取り込む機能となっており、また、それ以外の電話やFAX、メールなどで送られてきた声は、手入力したり、データをコピーして貼り付ける等の作業を経て、広聴広報課から各担当部局に回答を依頼するシステムとなっております。そして、この処理システムは全職員がパソコン上で確認することが出来、処理の遅れている部署に対してすぐに催促が出来るなど、市民からの意見に対する迅速な対応をめざしています。  
 そこで、このようなシステムを導入するには、全庁で統一したOAシステムの完備が必要になりますが、本市の場合は、既に統合型OAシステムが完備していることから、導入が充分可能であると思いますが、市民の声を処理する流れをIT化する事について、お考えをお聞かせ頂きたいと思います。  
 また、市民の声のデータベース化につきましては、今紹介した、市民の声を処理する流れをIT化することによって同時に確立が図れると思いますが、併せてお考えをお聞かせ頂きたいと思います。  
 また、浜松市の「市民の声システム」では、担当課が入力した回答文を広聴広報課でチェックし、不備がある場合は再度作成を指示するなど、あくまで市民に対する回答は、広報広聴課からするようになっております。それに対して本市の場合は、業務担当課から直接市民に回答して結果報告書が市民相談課に提出されるといった流れになっておりますが、責任ある対応と迅速化といった観点から、市民相談課が一連の流れを管理して、責任を持って回答をする処理体制の構築が必要であると思いますが、お考えをお聞かせ頂きたいと思います。  
 次に、コールセンターにつきましては、今後の課題として研究していきたいと言うことでしたが、確かに行政の業務内容は幅広く多岐に渡っており、簡単にマニュアル対応できるものばかりではないと思います。そういうことから、市民からの問い合わせを最も適切な対応が出来る部署に的確につなげることは重要であり、行政版コールセンターへの期待は大きいものがあると思いますし、工夫によっては市民の更なるCS向上に結びつけることが可能であると思いますので、積極的に取り組んで頂きたいと思います。
【市民自治部長の答え】1点目の、2週間以内の回答は実際どの位なのかにつきましては、約90%が2週間以内に回答しておりまして、早いものは、翌日に回答しているものもあります。2週間の回答期限内に回答ができない場合には、業務担当課から提案者に回答が遅れる旨の連絡をするとともに市民相談課にも回答予定時期を連絡をすることとなっております。  
 次に、責任を持って回答する処理体制の構築でございますが、本市のシステムは、「業務担当課責任体制」を基本としておりまして、業務担当課から責任ある回答をすることによる迅速な対応をめざしています。意見・要望等業務担当課への処理依頼から結果報告までの業務については、今後とも統合OAシステムを利用して迅速に対応していきたいと考えております。  
 次に、市民の声を処理する流れをIT化することにつきましては、わたしの意見・提案箱等から、提案者の意見・提案等が市民相談課に届きますと、市民相談課では、業務担当課の振り分けをしまして、業務担当課に回答依頼をしますが、その際に項目別に統合OAの課専用ドライブ上の受付処理簿に収受日、件名、提出者、担当課など処理経過を入力します。業務担当課から市民相談課に回答内容等を記した対応結果報告書が提出されますと 市民相談課では、受付処理簿に回答日の処理経過を入力する流れとなっておりまして、2週間の期限内の回答ができたか確認することができます。これらにつきましても統合OAの庁内メールなどを現在も利用しておりますがより有効に活用していきたいと考えております。  
 最後に、市民の声のデータベース化につきましては、 「しみんのこえQ&A」の一連の処理をすべて電子化し、職員間で共有する、あるいは市民に提供することから始まると捉えており、「しみんのこえQ&A」拡大版がその第1段階となるよう検討をすすめていきたいと考えております。  なお、コールセンターの設置につきましては、先程もお答えさせていただきましたが、今後の研究課題とさせていただきたいと考えておりますのでよろしくお願いします。
【再々質問】最後に自治体版CRMについて、もう少し確認をさせていただきたいと思います。まず、市民の声に対する対応についてでありますが、約90%が2週間以内に回答されていると言うことで、それぞれの業務担当課が努力されていることは分かりました。  
 ただ、その回答に対して市民がどれほど満足されているのかは、また別の問題になってくると思います。また、本市の処理体制は「業務担当課責任体制」ということになっているようですが、市民相談課には結果報告書が提出されるだけで、市民と業務担当課とのやり取りの中で知見した課題等については、一元的に蓄積されていないと思います。  
 そうしたことから、市民の声を処理する流れをIT化すべきではないかと申し上げたわけですが、ご答弁では「しみんのこえQ&A」の一連の処置を電子化し、拡大充実させる方向でデータベース化の検討を進めていきたいということですので、今後の進捗を待ちたいと思いますが、市民の声のデータベース化は、ひいてはコールセンターの設置にも関連してくると思いますが、住民を顧客と捉えたCS向上に結びつくようご検討をいただきたいと思います。これは要望としておきます。  
 また、自治体版CRMの基本的考え方は、住民を顧客とパートナーの両面から捉えることだと思います。そのような観点から、住民を顧客として捉えた取組として、住民一人一人のニーズをより詳細に把握し、それをサービスに反映させる仕組みとして、コールセンターや市民の声のデータベース化についてお聞きをしてきました。また、パートナーとして捉えた取組として電子町内会についてご見解をお聞きしたわけですが、言わば、電子自治体の構築はまだまだ緒に就いたばかりであり、今後は、新たなサービスを行政内部に抱え込まず、民間のリソースを効率よく活用し、事業の運営管理を外部委託していくことも充分考えておく必要があると思います。  
 また、電子自治体構築に向け今後確実に対応が求められるものとして、ICカードの発行・管理に関する一連の業務や、電子申請に関する問い合わせ窓口、或いは、電子調達に関する問い合わせ窓口などが考えられると思いますが、これら全て、CRMの見地から取り組むことによって、効率的で効果的な仕組みを構築することが可能であると思いますが、CRMの発想を基本に市民との新たな関係を構築していくために、今後どのような戦略をお持ちなのか、最後にお聞かせを頂きたいと思います。
【企画部長の答え】「CRMの発想を基本にした、市民との新たな関係の構築」につきましては、議員のご指摘のとおり、  市民を「顧客」として捉えて、市民の声をデータベース化する。 そのことによって、「市民ニーズに沿ったサービスの提供が可能となり、また、市民の負担軽減が図れることにもなる」と考えられております。  
 一方、市民を「パートナー」として捉えて、市民との情報交流の機会を拡充して行く。 そのことによって、「政策形成や サービスの改善が図れることになる」と考えられておりまして、  市民を「顧客」と「パートナー」との、両面から捉えて進めて行くことが、重要であると認識しています。  
 今後の、電子自治体の構築に向けては、この考え方を基本といたしまして、段階的に 具体化を図って行きたいと 考えております。  
 例えば、「電子申請や電子調達」の実現による、市民の負担軽減などを目指した 取り組みにつきましては、現在、神奈川県と、県内の34市町村が共同して、システム構築や 運営体制の準備をしています。 この「共同運営方式」は、民間の活力を導入する 「外部委託方式」でありまして、市民と行政とを繋ぐ、新たな関係構築の一つであると 考えております。


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