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平成15年9月定例会〈一般質問〉
  「暴力行為・いじめ・不登校」の実態と対策について

【質問】長崎市の中学1年生男子による男の子誘拐殺害や沖縄県の中学2年生男子による同級生集団暴行致死事件など、相次ぐ少年事件を受け、文部科学省では教育長会議を招集したり、学校と地域との連携などについて、点検や指示を出すなどしていますが、ここで改めて、社会全体が、子供たちの心の信号や非行につながる前兆をいかに把握すればよいのかが大きな課題になっていると思います。
 その為にもまず、家族が子供たちの心の動きに敏感であることが大前提であると思いますが、と同時に、学校で日頃、児童・生徒と接している教師にも一人一人の心の信号を鋭く察知し、能動的に指導していくことで、あの忌まわしい事件を未然に防止できた可能性も有ったのではないか、そして、今、改めて生徒指導のあり方を見つめ直すときに来ているようにも思います。
 そこでまず初めに、件名「教育課題について」要旨1.「暴力・いじめ・不登校の実態と対策について」お伺いをいたします。
 平成14年度・文部科学白書の中に「少子化・都市化等に伴い、様々な実体験をする機会や場の減少、家庭や地域社会の教育力の低下などに加え、情報通信機器の普及によるコミュニケーション手段の変容や情報の氾濫、擬似体験機会の増加など、子どもたちをとりまく社会全体の状況は急速に変化しており、そのような中、子どもたちの状況に目を向ければ、暴力行為、いじめ、不登校等は依然として憂慮すべき状況にある。」 とあります。
 そこで、先頃公表された小中学校における「暴力・いじめ・不登校」の平成14年度全国調査では、「暴力行為」が対前年比11.7%の減で2年連続で減少となり、「いじめ」は7年連続の減少、「不登校」についても約13万1千人で過去最多であった一昨年から約7,500人減って28年ぶりの減少となっていますが、神奈川県では、「暴力行為」が6年連続で全国最多となっており、「不登校」についても小学校で2000人を突破するなど過去最多の水準にあり、依然として憂慮すべき状況にあることが判りました。
 そこで、本市の場合も昨年まで残念ながら全国的な傾向とは異なり、「いじめ」「不登校」とも過去最多の結果が続いており、特に昨年「暴力行為」では、対前年比113%増の102件で、「いじめ」についても、平成11年49件、平成12年62件、平成13年69件と、平成11年から3年連続して増加してきております。
 また、「不登校」については、小学生が対前年比1.6%増の71人、中学生が11.5%増の310人で合計は12.7%増の381人となっており、中学校では1クラスに1人以上の不登校生徒がいることになり、非常に大きな学校教育上の課題となっておりますが、先にまとめられた平成14年度調査の結果、本市の状況はどのようになっているのか。そして、今回の調査結果を受けてどのように分析をされ、今後どのような対策を立てようとお考えなのかお聞かせいただきたいと思います。
 
また、国の補助事業として、不登校児童生徒の早期発見、早期対応をはじめ、より一層きめ細やかな支援を行うため、教員や適応指導員の研修、家庭への訪問指導など、不登校対策に関する中核的機能を充実し、学校・家庭・関係機関が連携した地域ぐるみのサポートシステムとして、スクーリング・サポート・ネットワークを今年から鎌倉市と合同で実施していますが、活動状況はどのようになっているのか、お聞かせを頂きたいと思います。

〈藤沢市小中学校の暴力・いじめ・不登校の現状(過去5年間)〉
 
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年
平成14年
暴力行為
11件
9件
9件
102件
68件
いじめ
小学校
2件
6件
2件
8件
1件
中学校
30件
43件
60件
61件
46件
不登校
小学校
61人
53人
60人
71人
77人
中学校
309人
289人
278人
310人
324人









教育総務部長の答え】1点目、平成14年度の生徒指導上の諸問題に関する調査結果では、「いじめ」「暴力行為」については減少傾向にあり、「いじめ」が47件で前年比31.9%減、「暴力行為」が68件で前年比33.3%減となっております。
 しかしながら、「不登校」につきましては、14年度も前年より20人増の401人となり、5.2%の増となっております。
 「いじめ」「暴力行為」の減少につきましては、各学校の生徒個々に応じたきめ細かな指導の積み重ねとカウンセラー等による相談活動の結果と考えておりますが、「いじめ」「暴力行為」とも過去の経過を見ますと、年度により発生数が急に増加することも見られ、今後も気を緩めず指導してまいりたいと考えております。
 「不登校」につきましては、特に中学校において、不登校のきっかけに「友人関係の問題」を挙げるものが増えております。こうした傾向は、人との関わりが苦手であったり、希薄であったり、言葉による表現力が弱かったりという、最近の子どもたちの人間関係の傾向を映し出しているとも考えられます。
 国の不登校問題に関する調査協力者会議は「適時・適切にかつ個々の状況に応じて対応する」という報告を出しております。
 教育委員会といたしましては、「自分を生かし人に役立つ子どもたち」の育成を目指し、「心の居場所」「絆づくり」の場としての魅力ある学校づくりはもちろんのこと、不登校に関する研修会や学校訪問での情報提供、学校体制作りへの助言等に努めていきたいと考えております。
 2点目、スクーリング・サポート・ネットワークの活動状況についてお答えいたします。
 今年度、教育委員会では県より委託を受け、藤沢市相談指導教室に地域スクーリング サポート センターをおき、鎌倉市教育センターとともに不登校に関わるサポート システムの整備と調査研究に取り組んでいるところです。 具体的な活動といたしましては、藤沢市相談指導教室と鎌倉市教育センターが、ネットワーク会議を持ち情報交換したり、合同で相談員・指導員の研修会を実施したりしております。
 8月には、県の地区行政センターと連携し、不登校・ひきこもりの支援を考えるミニ集会を開催いたしました。この会には、藤沢市相談指導教室と鎌倉市教育センターの職員を始め、行政機関、民間の相談機関、不登校児童生徒の保護者、学校教員等が参加し、地域における不登校・ひきこもりの支援について意見を交換し合いました。
 2月にも同様の県民集会を計画しておりますが、こうした場で出された保護者等からの意見を今後のサポート システムの整備に生かしていきたいと考えております。
 また、特別な配慮を要する児童生徒の支援のあり方について教員の理解を深めるため、民間NPO機関であるライナス学園より講師を招聘し、教員向けの研修会を実施しております。
 こうした活動のほかに、スクーリング・サポート・ネットワーク指導員をおいております。この指導員は、相談指導教室における不登校児童生徒への支援活動の補佐を行 うとともに、どこの相談機関からも支援を受けていない不 登校児童生徒の家庭を担任とともに訪問し、相談機関に つながるように橋渡ししようとするものです。

【再質問】本市の「暴力行為」については、68件で前年比33.3%の減となっていますが、そもそも一昨年の102件という件数自体が異常であっただけに一言で改善されたとは言いにくい状況にあると思います。
 また、「いじめ」についても、47件で4年ぶりに対前年比で31.9%の減少となり、各学校そして先生方の努力の結果であると認識をいたしますが、やはり「いじめ」に対しては毅然たる態度で望んでいただき、是非とも撲滅にむけてご尽力いただくという点で、来年以降に大きな期待をしたいと思いますが、何れにしましても、日常接している先生の目が一番肝心だと思いますので、週5日制の影響で多忙となり生徒と接する時間が取りづらくなってきているとは思いますが、冒頭申し上げたように子供たちの心の信号や前兆をつかむ生徒指導を充実させていただきたいと思います。
 さてそこで、「不登校」についてでありますが、本市では調査開始以来初めて400名を超えたことになると思いますが、これは、不登校の要因や背景の特定が難しいこと、また、適切な対応が不充分であったことなど、何も本市に限って特筆される問題ではないと言えますが、そこで、ご答弁でも文部科学省の「不登校問題に関する調査協力者会議」からの報告について触れておられましたが、調査協力者会議からの提言の最大のポイントは、不登校解決の目標を、本人の「将来の社会的自立」だと位置づけたことで、目先の学校復帰にこだわるのではなく、個々の子供たちの人生にとって今、何が必要なのかをまず見据えようと言うもので、登校するか否かを単純に論じるのではなく、どう関わることがトータルとして本人の利益になるのかという発想に立ち、不登校自体が「問題行動」ではないと指摘しております。また、不登校を「心の問題」のみならず「進路の問題」として位置づけ中学校卒業後の課題として中学校で不登校であった生徒のその後の支援についても考える必要があること、さらに「ひきこもり」について、不登校から必ず「ひきこもり」状態になると誤解してはならないとしながらも、不登校の深刻化から、その後長期間にわたる「ひきこもり」につながるケースもあり、「ひきこもり」を防止する観点からも、不登校への適切な対応が重要であるとしています。
 そこで、基本的に学校は不登校児童生徒にどうかかわるべきなのかという点で、具体的には「早期」と「連携」がキーワードになっていると思いますが、不登校が長引けば、不登校であること自体が学校に行けない原因になりうること、また、担任一人が独断で対応するのでなく、複数の教員や管理職、スクールカウンセラーを始め校内外の専門家、保護者などとチームを組んで対応を検討する必要性等が強調されております。
 従って、先ほどご答弁いただいた「スクーリングサポートネットワーク」をより充実させていくことが求められてくると思いますが、先ほどのお話では、本格的な活動に向けまだまだ準備をしている段階のような印象を受けましたが、今申し上げてきたような課題に十分対応できる体制になっているのか再度お聞かせを頂きたいと思います。
 また、国立教育政策研究所の調査では、小学校で欠席がちだと、中学校でも早い段階で不登校になる傾向のあることが指摘されており、小・中学校間での連携を密にし、小学校で不登校の兆候が見られた生徒に対しては中学1年の夏休みを利用して学習相談を行うなど、早期対策を取ることが重要と指摘しており、今まさに夏休みが終わり2学期を向かえた中で、何か対策は取られているのかお聞かせを頂きたいと思います。
教育総務部長の答え】1点目、「早期」「連携」という点からスクーリングサポートネットワークの充実についてお答えします。 議員ご指摘のように、不登校児童生徒への対応については「早期」「連携」ということが非常に大切であると考えております。
 したがいまして、各学校に対しましては、夏に開催しましたスクーリングサポートネットワークの教員向け研修会で、担当指導主事から、
・担任任せではなく学校としての組織的な取り組みをする。
・外部機関との連携のための学校全体の窓口となる担当者を置く。
・不登校の様態を他機関と連携しながら見極めて対応する。 等、校内支援体制の確立について見直すように改めて提起したところです。 スクーリングサポートネットワークは、本市と鎌倉市との連携が動き出したばかりの実状です。 教育委員会では、現在、相談関係機関連絡会を開催し市内の相談機関同士の連携を図っており、お互いに「顔の見えるネットワークづくり」を大切にしてきています。
 今後は、学校とこうした機関との連携についてさらに指導してまいりたいと考えます。
 次に、2点目の小・中の連携と夏休みを利用しての不登校対策の早期取り組みについてですが、小・中の情報連携につきましては、中学校入学前の受け入れ時期や、1・2学期の始めと終わりに、小・中学校の担任や児童・生徒指導担当教員による情報交換を行い、情報の共有化を図っております。
 また、夏休みを利用しての学習相談等につきましては、一部の中学校では行っておりますが、ご指摘のとおり、中学校1年の夏休み明けが不登校の急増する時期でもあり、夏休みの期間の重要性を再認識し、学習相談や補充学習、部活動などさまざまなアプローチにより、不登校の発生を少しでも押さえるような対応の充実を図ってまいりたいと考えます。
【要望】「不登校」についてでありますが、小・中学校の連携による未然防止策の取り組みを強化すると共に、「不登校」児童・生徒に対しては、周囲の圧力による無理な学校復帰が、かえって再度の不登校や20代、30代の「ひきこもり」につながりやすいことは、多くの経験が示すところとなっておりますので、単に数を減らすことが、不登校の「解決」とせずに、不登校解決の目標を、本人にとって「将来の社会的自立」に向けた取り組みとして進めていただきたいと思います。


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