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平成14年12月定例会〈一般質問〉
  「いじめ、不登校の現状と対策」について

【質問】去る8月23日、文部科学省は、都道府県教委を通じ、「暴力行為の発生件数」「いじめの発生件数」「不登校の児童生徒数」などについて調査した「平成13年度の生徒指導上の諸問題の現状について」発表をいたしました。  調査結果から見る全国的な傾向としては、「校内暴力」が1997年度以来初めて減少したことや、「いじめ」の発生件数も6年連続で減り続けている一方で、「不登校」は増え続け、病気や経済的な理由以外で30日以上学校を休んだ小中学生は、13万9千人に上り、この10年間で倍増していることが分かりました。  
 元来、「校内暴力」や「いじめ」は、「不登校」の要因ともされており、また、受験競争の厳しい管理体制の緩和が、不登校対策として緊急課題となった時期もありましたが、今回の調査では、「校内暴力」や「いじめ」が数字の上では減り、さらにスクールカウンセラーの配置なども進んできたにもかかわらず、「不登校」が増加しているという事態は、きわめて深刻な状況にあるといわざる終えません。
 ましてや、藤沢市の場合は、全国的な傾向とは違い、「暴力行為」「いじめ」とも、過去最悪の結果となっており、おのずと「不登校」についても過去最悪の結果となっているなど、学校や教師、また、家庭にも危機感を持った取組が早急に求められていると思います。  
 そこで、まず「いじめ」についてでありますが、これも先程述べましたように、全国的には6年連続して減少をしてきておりますが、本市の場合は、小中併せて平成9年57件、平成10年32件、平成11年49件、平成12年62件、平成13年69件と、平成11年から3年連続して増加してきております。昨年の9月議会でもこのことについて質問をしましたが、その際、増加の要因として、『中学校の「心の教室相談員」や「いじめなんでも相談ふじさわ」の訪問相談が定着し、特に「いじめなんでも相談ふじさわ」は、小・中学校ともに、訪問回数、相談回数が年々増加してきていることから、これまでつかみきれなかった問題が、顕在化してきたと考えている』というお答えを頂きましたが、そうであるならば、「いじめ」が起きているケースはどのような場合が多いのか実態もつかんでいると思いますので、ここでまず、「いじめの形態」について、どのような分析がされているのかお聞かせを頂きたいと思います。
 また、いじめの発覚した理由については、大きく分けて、児童生徒からの訴えや保護者からの訴え、また、教師の発見などが考えられますが、この点についても実態をお聞かせ頂きたいと思います。そして、先の決算特別委員会でも教育長に「いじめる側が断じて悪い」という基本的考え方についてお聞きをしたところではありますが、「如何なる理由が有ろうとも、いじめる側が断じて悪い」という教育を現場ではどのように指導しているのか、また、生徒同士でこの問題を考える機会はどれだけ持たれているのかなど、指導体制についてもお聞かせを頂きたいと思います。
 最後に、「不登校」についてでありますが、30日以上欠席した小・中学校における不登校児童生徒数は、全国で13万8696人で過去最多となっており、学校種別に見ると小学生が対前年比0.5%増の2万7千人、中学生が4%増の11万2千人で、中学生は36人に一人とほぼ一クラスに一人の割合いでありました。
 そこで、本市の場合はといいますと。小学生が対前年比1.6%増の71人、中学生が11.5%増の310人で合計は12.7%増の381人となっております。因みに、平成11年度と平成12年度の比較がマイナス1.1%であったことを考えますと、急激な変化が本市の小中学校で起きていると見ても過言ではないと思います。文部科学省でも、不登校の小中学生が10年で倍増したという調査結果を受けて「これまでの間の対策の実効性の検証が必要である」と危機感を募らせております。  
 そこで、やはり昨年の9月議会でこの件についてお聞きした際には、『不登校は特別な子供にのみ起こるものではなく、きっかけがあればどの子どもにも起こりうるものとしてとらえた上で、早期に発見し指導解決を図っていきたい』といったお考えをお聞きしておりますが、確かに「不登校は例外的な現象ではなく、どの子どもにも起こりうること」という考え方が世間一般に定着してきていることは事実でありますが、そうした学校や家庭の受け止め方が、「無理して学校に行かない」という児童、生徒を増やしている面も多分にあると思います。  
 そこでまず、早期に発見し指導解決を図るために、教師や養護教諭、スクールカウンセラーなどとの連携と相互理解は十分とれているのかという点について現状の取組と、今後のお考えをお聞かせ頂きたいと思います。  
 また、今回の調査で、不登校になった直接のきっかけとして、「学校生活」「家庭生活」「本人に関わる問題」「その他」といった大きく分けて4つの原因で分析をしておりますが、全国の集計では、学校生活や本人の問題が、それぞれ3人に1人、家庭生活が5人に1人の割合となっており、この傾向は本市に於いても同じでありますが、これは学校側の調べであることから、「学校生活に起因」するという数字が押さえ気味に現れる傾向性が指摘されており、本市の場合は、全国平均の36.2%に比べ31.2%と更に低い結果となっております。  
 そこで、大阪市立大などの研究グループによる調査では、不登校中学生を対象に5年間追跡したところ、半数近くがいじめなど友人との関わりで、2割ほどが教師との関係の悩みで、きっかけの主因は学校側にあった。との調査結果を発表しており、不登校の原因は文科省が考えている以上に、学校にあることを示すデータ結果を踏まえると、学校側の対応で解決の道が見えてくるという視点から、多様な取組が検討されるべきであると考えますが、全国的には、埼玉県志木市が実施している、不登校の子供たちの自宅に教師を派遣し、個別指導を行う「ホームスタディー制度」や、八王子市の不登校児童生徒に対する特別な教育課程を組む小中一貫校の設置。また、岐阜県などが実施しているインターネットで学べる小中学校の通信制課程など、新たな学習の場づくりへの試みが出てきておりますが、本市ではどのようにお考えなのか、また、不登校児童生徒の多くが家庭にいることから、家庭に出かけていくカウンセラーや熊本市が実施している若者のメンタルフレンドなどの必要性についてもどのようにお考えなのかご見解をお聞かせ頂きたいと思います。

教育長の答え】「いじめ、不登校の現状と対策について」お答えします。  
 まず、いじめの形態ということですが、「冷やかし・からかい」が一番多く、次いで「言葉での脅し」「仲間はずれ」と続き、ここまでで、全体の3分の2を占めています。この傾向は小・中学校に共通してみられています。こうした形態は、当然ながら教師の見えないところで行われるわけで、事後の形跡も残りにくく、発見が難しくなっています。  また「暴力をふるう」という行為も、これらよりは少ないながら、特に中学校において見られる形態です。  
 次に発見のきっかけですが、中学校では、「本人からの訴え」が一番多く、次いで「担任の発見」、「保護者からの訴え」と続き、全体の7割以上を占めているのに対し、小学校では、少ない事例ながら「保護者からの訴え」が一番で、次に「担任の発見」となっています。  
 中学校では、自分から苦境を訴える生徒が増えているのに対し、小学生は、なかなか自分のことを大人に話せずに悩んでいるという傾向がうかがえます。  次にいじめに対する指導とその体制についてですが、 道徳や学級指導の時間はもとより、全校・学年などの集会や日常生活の中でも、他者理解や他者尊重、思いやりや生命の尊厳など様々な角度から、指導を行っています。  
 また、いじめだけに限ってはおりませんが、県の「暴力行為等防止運動推進会議」の主催で、「暴力行為等防止キャンペーン」を行っています。この中で、毎年7月と11月の年2回「児童・生徒指導強化週間」を設け、市内全小・中学校がいじめ・暴力行為の防止と根絶に向け、クラスや児童会・生徒会での話し合いを経てスローガンを決め、学校として取り組んでおります。  小学校の例としては、代表委員会でクラスの話し合いを集約して各クラスに配布したり、放送委員会で朝と帰りの放送で全校の児童に呼びかけたりなどの取り組みが報告されております。  
 こうした指導の体制は、各学年からの生活指導担当者数名で組織した生活指導部が中心となって、方針を決め、指導に当たっていく形が、基本的にはとられております。
 次に「不登校」についてですが、まず教師や養護教諭とスクールカウンセラーなどとの連携の取り組みについてお答えします。  
 保健室には、今まで不登校であったが保健室までなら何とか登校できるようになった生徒や、心理的に教室に入れなくなった生徒などが不調を訴えて来ることがあります。こうした生徒たちに対して、養護教諭と担任教師は常に連絡を取り合い、対応につとめております。  
 スクールカウンセラーが配置されている中学校では、スクールカウンセラーが担任教師や養護教諭との連携を密にしてケースに対応するとともに、学年会に出席して教師に対して不登校生徒の対応について助言を行うなどの連携もはかっております。 スクールカウンセラーが配置されていない学校でも、要請に応じて、いじめなんでも相談訪問相談員が、同じような形で連携をはかるようにしております。また、相談指導教室に入室している不登校児童生徒については、担任と相談指導教室職員との連絡会を行っております。  
 このようにして、連携の取り組みがなされておりますが、今後も、十分な連携がはかれるようにさらに協力体制を整えて参りたいと考えております。  
 次に、不登校児童生徒の多様な学びのあり方についてですが、議員ご指摘のように、他都県のいくつかの市で新しい取り組みが試行されようとしております。また、 現在、国の方では「不登校問題に関する調査研究協力者会議」が発足し不登校問題をめぐっての検討が進められており、1月にはそのまとめが出される予定になっております。こうした他市の取り組みの実施状況や実効性、国の動向等の情報を集めながら、今後の方向性を探っていきたいと考えております。  
 なお、学校復帰が不登校対策の中心目標であることから、児童生徒が安心して過ごせる、居場所としての学校を作り上げていくことが何より肝要かと考えておりますので、楽しくわかりやすい授業を工夫したり、どの子にも活躍できる場を持たせるようにしながら、一人一人へのきめ細かな対応を心がけ、学校生活に起因する不登校を少なくするための努力を続けてまいりたいと考えております。  
 次に家庭へ出かけていくカウンセラーについてですが、 本市におきましては、閉じこもり傾向の強い不登校児童生徒に対して家庭訪問による相談指導が必要であると考え、相談指導教室の発足時から、教育ケースワーカーによる家庭訪問相談を実施しているところです。しかしながら、家庭側の意識の変化もあって、家庭訪問の要請が減少している傾向もありますので、メンタルフレンド等については慎重に考えてまいりたいと思います。

【再質問】「いじめ」についてでありますが、いじめの内容としては、「冷やかし」や「からかい」また「仲間はずれ」など、教師から見えにくいところで行われていること。  
 また、発見のきっかけとしては、中学生は、自分から訴えてくる生徒が増えているのに対し、小学生は、なかなか自分のことを大人に話せずに悩んでいるという実態についてご答弁頂きましたが、文部科学省では、「いじめを見たとき、その場に居合わせた子どもの対応」という視点でも調査しており、ここでは小・中共に一番多かった答えは「関わらないようにした」ということであります。  
 よく子どもの世界は大人の世界を映し出す鏡と言われますが、地域社会や身近なところにも問題があると知りながら、関わろうとしないで知らないそぶりをする我々大人の社会を反映していると考えたとき、最早この問題は学校だけの取組で解決できる状態ではないと思います。  
 そこで、因みに県ではどのように取り組もうとしているのか少し調べてみましたが、県教委のホームページには、平成9年以降のいじめ発生件数の推移を明記しながら、「いじめについては減少傾向にあります」と大きく見出しを付けて紹介しております。また、「いじめ」に対する問題解決へのアピールとしては、「子どもたちへ」「お父さん・お母さんへ」「学校の先生へ」「地域の指導者の皆さんへ」と題してはいるものの、アピールの中身は平成6年に知事が出した「いじめ」対策緊急アピールからの抜粋で、少なくとも社会全体で取り組もうとする危機感は全く感じられないものでした。  そこで先程、本市に於ける「いじめ」に対する指導体制や生徒間同士の話し合いなど、具体的取組についてご答弁を頂きましたが、残念ながら、県の姿勢と同様にあまり危機感を感じているようには受け止めることは出来ませんでした。  
 従って、再度お伺いしたい訳ですが、歯止めがかからない状況にある本市の「いじめ」問題を、全市民的に地域社会全体で考えてもらうと言った観点から、具体的な取り組みを進めていく必要があると思いますが、ご見解をお聞かせ頂きたいと思います。    
 次に、「不登校」についてでありますが、まず、多様な学びの在り方については、国の動向や他市の取り組みなど情報を集めながら今後の方向性を探っていきたいという大変慎重なお考えであることが分かりましたが、実態としては、家庭に閉じこもってしまっている不登校児童生徒への教育カウンセラーの家庭訪問も家庭側からの要請が減少傾向にあると言うことからも、学校復帰が不登校対策の中心目標であることが、むしろ、家庭に閉じこもる傾向、すなわち「ひきこもり」につながっていると考える事も出来るのではないかと思いますが、 そこで、不登校児童生徒の中で「ひきこもりがち」の生徒はどのように把握しているのか。確かに厚生労働省の定義では「6ヶ月以上自宅にひきこもって社会参加しない状態」としていますので、一概に「ひきこもり」とは言えない子もいると思いますが、少なくとも家庭に閉じこもり、無気力で社会との関係を絶とうとしている状態は「ひきこもり」の兆しがあるといえますので、教育委員会としての把握状況をお知らせ頂きたいと思います。また、厚労省の調査では「ひきこもり」者全体の41%に不登校の経験があったとしていますが、不登校児童生徒の卒業後の支援はどのように引き継いでいるのか。そして、卒業後の状況はどのように把握されているのかお聞かせを頂きたいと思います。
学校教育部長の答え】「いじめ」の問題についてですが、議員のお話にもありましたように、教育委員会としましては、先の決算特別委員会で教育長が述べました「いじめる側が断じて悪い。」という基本的な考え方に立っております。  
 児童生徒間には「いじめを見過ごさない。許さない。声に出して訴え、助け合う。」といった「公正さ」「正義感」「自浄作用」を高める指導を道徳の時間や教科の時間といったあらゆる場面で、行っております。  
 また、保護者の訴えによって発覚しているケースもあることから、児童生徒一人ひとりを注視し、小さな変化やいじめのシグナルを見落とさない鋭敏なアンテナを持つよう教師に指導しているところです。  
 また、「全市民的に地域社会全体で考えてもらう」というご指摘につきましては、保護者会を始め、学校で行われております、民生委員との話し合い、地域懇談会、児童生徒指導サポート会議等々におきまして、情報提供等を行い、「いじめ問題」への啓発活動を行ってまいります。
 不登校についてお答えします。各学校の長期欠席児童生徒の状況につきましては、学校教育課で月ごとに調査して把握しております。しかしながら、不登校の状態であっても、何らかの社会参加をしている児童生徒もおり、一概にひきこもり状態であると言い難い状態もあります。  
 次に中学3年生の不登校生徒の進路につきましては、担任教諭をはじめとする在籍校の教員が進路指導等でできる限りの支援をしているところです。その結果としての卒業後の進路については、学校教育課としましても把握しております。しかしながら、義務教育学校卒業後の個々の生徒の状況については、個人のプライバシーの問題もあり、状況の把握は難しいと考えます。  
 また、支援の引き継ぎにつきましては、保護者から相談があった場合に、担任が相談にのったり、対応できる相談機関を紹介したり等の支援をしております。
【要望】最後に「不登校」についてだけ申し上げたいと思います。  
 不登校については、今「ひきこもり」と言う観点から幾つか質問を致しましたが、「不登校」から「ひきこもり」につながる最悪の流れを阻止するためには、それなりの支援体制が確立されていなければ、保護者や本人からの相談は来ないであろうし、逆にこちらから状況把握をしようとすればプライバシーの侵害と捉えられてくると思います。  
 それならば、どのような支援が必要なのか、研究する必要があるわけで、「ひきこもり」については、福祉部門が責任をもって対策をとり、教育委員会などと連携をとることが今後必ず求められてくると思いますが、今日は「不登校」についての質問ですので、「ひきこもり」の観点からの質問はこれ以上はしませんが、少なくとも「不登校」から「ひきこもり」へ発展してしまうのは何故なのか、と言う観点で、教育委員会は研究してみる必要は有ろうかと思います。  
 ご答弁にもありましたように、教育カウンセラーによる家庭訪問に対する要請が減少傾向にあると言うことからも、当事者からの意見や保護者からの意見などを積極的に聞きながら研究をしていくと言うことが、今後の大きな課題ではないかと思いますので、この点については、福祉部門ともよく連携を取りながら、早急に対応策を講ずるよう要望させて頂きます。


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