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平成19年6例会〈一般質問〉
  「耐震改修の促進について」

【質問】平成7年1月の阪神・淡路大震災では、地震により6,434人の尊い命が奪われました。このうち地震による直接的な死者数は5,502人で、さらにこの約9割の4,831人が住宅等の倒壊によるものでした。  

 このようなことから、大規模地震による家屋倒壊被害を減少させるためには、特に、昭和56年に改正された新耐震基準以前の建築物について耐震性の向上を図ることが急務の課題となり、昨年1月には、一般住宅など建築物の耐震化を促進するための、耐震改修促進法が改正されました。  

 この件については、今年の代表質問でもお尋ねをしたわけですが、国の基本方針を受けて神奈川県が今年の3月に「神奈川県耐震改修促進計画」を策定し、それを受け、本市の耐震改修促進計画が策定されることになっており、おそらく細かい作業はこれからだとは思いますが、県の促進計画をはじめ、県下各自治体の取り組みなども明らかとなりましたので、改めて、今後の本市の取り組みについてお伺いをしたいと思います。  

 まず、基本的なことになりますが、神奈川県耐震改修促進計画では、住宅及び多数の者が利用する建築物の耐震化率を平成27年までに90%にする目標としており、このことから県では、様々な施策により、耐震改修・建替えを促進する対象戸数を約4万戸と想定していますが、本市における耐震化率の現状をどのように分析をされているのか、また、本市の耐震化率の目標も90%にする考えが示されていますが、その為に耐震改修・建替えを促進する対象戸数をどのように捉えておられるのか、学校、病院、社会福祉施設など、多数の者が利用する一定規模以上の「特定建築物」と併せて対象数をお聞かせいただきたいと思います。  

 次に、耐震化を促進するための施策についてでありますが、建築物の耐震化促進のためには、建築物の所有者等が、自らの生命・財産は自らが守るという意識を持つとともに、所有または管理する建築物の耐震性を把握し、必要に応じて耐震化を進めることが求められます。  

 したがって、建築物の所有者等が、建築物の耐震化を行いやすいように、適切な情報提供をはじめとして、耐震診断・耐震改修に係る負担軽減のための支援策等を講ずる必要性から、本市においても昨年度から木造住宅耐震改修工事の補助制度が実施され、市民からの問い合わせも多いと聞いております。  

 そこで、県が今回の促進計画を策定するに当たり、県下市町村の耐震関係補助制度を纏めております。そこでまず、耐震診断について、本市は一般住宅のみ補助を行っておりますが、横浜市を始め、川崎市、横須賀市、相模原市では、マンションの耐震診断に対しても補助を行っておりますが、 本市のマンションに対する耐震診断補助についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。  

 また、耐震改修工事への補助制度を実施しているのは本市の他、12市2町となっておりますが、補助内容にはばらつきがあり、本市は補助率1/2の上限60万円となっていますが、横浜市では一般世帯で上限150万円、非課税世帯は上限225万円となっております。また、横須賀市や綾瀬市では上限100万円とやはり本市を上回る補助率となっておりますが、補助内容について今後拡充するお考えはあるのか、特に、非課税世帯を始めとした低所得者層への支援策は検討する必要があると考えますが、ご見解をお聞かせいただきたいと思います。  

 また、木造住宅の耐震化の目安となる耐震性は、国土交通省監修の診断方法で点数化され、震度6強〜7程度の大規模地震に対し、評点が1.5以上が「倒壊しない」、1.0以上で「一応倒壊しない」、0.7以上で「倒壊する可能性がある」、そして、0.7未満が「倒壊する可能性が高い」となっていて、耐震改修工事を実施する際には、「一応倒壊しない」と判定される評点1.0以上になるよう補強することが耐震基準に見合う強度とされ、本市が実施している耐震改修工事への補助基準ともなっています。  

 ところが、基準に見合う耐震改修工事には多大な経費が掛かるため、資金に余裕のない経済的弱者は、「改修工事をしたくても資金が都合できない」との理由から、倒壊の可能性が極めて高い住宅に住み続けなければならないのが実態となっています。  

 こうした事態を打開するため、木造住宅を改修する際、耐震基準を下回る簡易な補強工事であっても、地震時に空間を確保して助かる可能性が高まると判断し、補助金を出す自治体が増えてきております。  

 市区町村では少なくとも東京都墨田区を始め、足立区、板橋区、新潟県長岡市、三重県四日市市、鈴鹿市、神戸市等が緩和要件で補助をしており、神戸市では、耐震性1.0未満〜0.7以上の小規模改修に最大30万円の補助、東京都墨田区の改修工事助成事業では耐震性0.7以上という要件も設けておらず、同様に足立区と鈴鹿市も強度の要件は設けずに現状より改善すれば補助をする制度となっています。  

 自治体の中には「評点1.0は『一応』安全というレベルであり、それを満たしていないのに公金を投入していいのか」と疑問視する向きもあると聞いておりますが、耐震性に問題がある住宅には高齢者や資金的に余裕のない人々が多く住んでおり、簡易な補強工事でも補助する制度はセーフティーネットとして早急に整備する必要があると考えますが、改めて本市のご見解をお聞かせいただきたいと思います。
【副市長答弁】本市におきましては、国の基本方針及び今年3月に策定されました神奈川県耐震改修促進計画を勘案し、建築物の地震に対する安全性の向上を計画的に促進することを目的として、耐震改修促進法に基づく「耐震改修促進計画」を今年度末を目途に策定する予定でございます。  

 このため、計画を策定する上で必要な調査として、市内全域の住宅とともに学校・病院及び社会福祉施設など多数の人々が利用する一定規模以上の建築物、並びに災害時の緊急輸送路を閉鎖させる建築物の実態調査を行ってまいります。 これらの調査結果を総合的に判断し、本市として対応すべき課題の整理と共に、住宅や特定建築物の耐震化率を平成27年までに9割とする目標を達成するための施策や安全対策などについても、検討を行ってまいります。

 1点目の本市における木造住宅の耐震化の現状につきましては、昭和56年以前に建築された住宅が3万1千戸あり、このう内、約20%が耐震性能が確保された住宅であると、これまでの耐震診断の結果から推測しております。

 このことから、昭和56年以降の新耐震基準後に建築された住宅と併せまして、耐震化率を算定いたしますと約70%と推計しております。   

 また、住宅及び特定建築物における耐震改修・建替えを促進する対象戸数や特定建築物等の対象戸数につきましては、実態調査をもとに推計をし、促進計画の中で明らかにしていきたいと考えております。  

 次に、2点目のマンションに対する耐震診断への補助につきまして、お答えいたします。  現在の木造住宅における耐震化の状況を考えますと、地震時に家屋の倒壊による人的被害が大きいとともに、火災発生時の延焼による二次的被害も憂慮することとなります。このことから、本市では、木造住宅に対する耐震診断の補助を優先的に行ってまいりました。  

 しかしながら、マンションにおける補助制度につきましても、耐震促進計画を策定する中での一つの課題として捉えておりますので、実態把握するとともに、近隣市における取り組みなどの調査と併せ検討を行ってまいります。   

 3点目の耐震改修工事に対する補助制度の拡充につきまして、お答えいたします。本市では、平成18年度より耐震改修工事に対する補助事業を始めており、実施した件数は10件でございます。今年度につきましては、20件を予定しており、木造住宅の耐震化を促進していくうえで、多くの市民の皆様に補助をご利用していただきたいと考えております。  

 このことから、広報ふじさわや市のホームページ及び簡易診断実施後に行っているアンケート調査などの様々な方法により、補助制度について周知していきたいと考えております。  また、補助制度の拡充につきましては、出前講座や市民向けの耐震セミナー等を通じ市民の方々の意見をお聞きしながら、促進計画に位置づけてまいりたいと考えております。    

 4点目の耐震基準を下回る簡易な補強工事に対する補助制度について、お答えいたします。耐震改修を行った場合の耐震総合評価において、1.5以上が「安全」、1.0以上1.5未満が「一応安全が確保された状態」というレベルで安全性を判断しております。

 また、耐震改修工事を行った場合の税制面での控除や国・県による補助対象要件として、耐震改修工事後の評価が1.0以上とされていることから、当面の間、耐震総合評価1.0以上になる補強工事を補助対象として、耐震化を進めてまいりたいと考えております。  

 しかし、委員ご指摘の耐震改修工事には多大な経費がかかるという場合には、簡易な工法や安価な工法も開発されておりますので、本市といたしましては、建築士事務所協会及び建設業界等との連携を図り、普及に努めてまいります。  また、今後も市民に広くPRを行うとともに研究を行ってまいりたいと考えております。

【要望】今後、耐震改修・建て替え等を促進する際の低所得者層への支援については、耐震改修促進計画を策定する中で課題として捉えているようですが、簡易な補強工事への補助制度は考えていないと言うことでした。  

 そこで、先程も墨田区のことを取り上げましたが、一つの具体例を申し上げると、墨田区で70歳代の一人暮らしの女性が住んでいる築70年ほどの木造住宅があり、この住宅の耐震基準は0.48で、この建物を耐震基準1.0以上に補強しようとすると300万円以上かかり、これは独り暮らしのお年寄りには非常に大きな負担となります。  

 そこで、いつも暮らしている部屋と逃げる場所だけ確保しようと、いつもいる部屋の壁に筋交いを入れる簡易補強をしました。これによって、1.0までは無理でも、すぐにぺしゃんこにはならないレベルとなり、なんとか外に逃げるための補強をしているそうであります。  

 また、墨田区は独自の条例を作り、持ち家だけではなく、借家の場合も家の持ち主の許可が得られれば簡易補強工事の補助をしています。  確かに墨田区は古い住宅が多いいわゆる下町で、本市とは都市構造が違うとは思いますが、「資金的に余裕のない災害弱者へのセーフティーネット」として、是非とも前向きにご検討いただくよう強く要望したいと思います。


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